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定期購入トラブル防止へ新たな規制導入、特商法・預託法検討委員会が報告書

<解約権の民事ルール創設を提言>

 消費者庁の「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」は19日、健康食品や化粧品の定期購入トラブルを防止するための規制強化策などを提言した報告書を取りまとめた。これを受けて、消費者庁は特商法と預託法の改正作業に着手する。来年の通常国会へ法案を提出する計画だ。

 改正の背景には、高齢化の進展やデジタル化の普及に伴って、悪質商法が巧妙化していることがある。検討委員会では、認知機能が衰えた高齢者、ネット取引に疎い消費者、社会経験が浅い若年層など、消費者の弱みに付け込んだ悪質な手口を念頭に置いて議論した。

 特商法の見直しの柱に、健康食品・化粧品などの定期購入トラブルへの対応策を据えた。近年、ネット通販で「初回」「お試し」とうたいながら、定期購入が条件だったという消費者トラブルが急増。被害者は高齢者から未成年者までと幅広い。

 報告書は、悪質な定期購入商法に対し、抜本的な規制強化が必要と指摘。独立した禁止行為として位置づけ、より効果的に規制する方向性を示した。違反の恐れがあるサイトに対しては、法執行の強化が必要としている。

 また、定期購入をめぐり、解約したくても「電話がつながらない」という苦情が、多数の消費者から寄せられている。そうした状況を解消するため、報告書は解約・解除を妨害する行為の禁止や、解約権の民事ルールの創設を提言した。特商法ガイドラインの早期の見直しも必要としている。

 オンライン・ショッピングモールなどのデジタル・プラットフォームを介した取引についても、消費者被害を防止するための方策を要望した。偽ブランド品の販売といった被害が生じても、出店者(販売業者)の身元が不明で、消費者が泣き寝入りするケースがある。そうした問題に対応するため、報告書は特商法の見直しを含め、販売業者の追跡が可能となる方策の検討を求めた。

<違法広告で得た収益を没収する罰則の導入>

 消費者の弱みに付け込んだ悪質商法に対応する観点から、特商法に基づいて「合理的な根拠を示す資料の提出」を事業者に求めることができる対象範囲の拡大を提言した。現行法は対象範囲を「効果・効能に係る不実告知等」と規定。報告書は、違反行為の立証に時間がかかる「過量販売等」の追加を求めた。

 特商法は、訪問販売と電話勧誘販売について過量販売を禁止してきた。健康食品の販売も、一般的に必要とされる量を超えて販売すると、特商法違反に問われる。しかし、違反者のなかには、通常必要とされる量を著しく超えているかどうかなどを明確にしない者もいる。このため、「過量販売でない」ことの合理的根拠を示す資料の提出を事業者に要求できるように改正し、迅速な取り締まりにつなげる考えだ。

 虚偽の効能効果をうたうなど、「不実告知等の禁止」の違反については、詐欺罪などの法定刑も視野に入れ、方策を検討する方向性が示された。その際、違法収益の没収が可能となる罰則を検討するように提言。違反者の“やり得”を防ぐ仕組みを求めている。

<販売を伴う預託取引を原則禁止、違反者に法定刑>

 預託法については、「販売を伴う預託取引」の原則禁止を打ち出した。ジャパンライフ事件やケフィア事業振興会事件では、物品販売から始まる預託取引により、甚大な財産的被害を出した。そうした経緯を踏まえ、抜本的な改正が必要とした。

 この取引は、新規契約者の物品販売代金で一時的に配当を行うことが可能なため、事件が発覚しにくい面がある。また、販売した物品が存在しないなど、甚大な被害を生みやすい特性がある。

 報告書は、預託法で原則禁止とし、違反者に対する法定刑を設けることが必要と指摘。これと合わせて、販売を伴う預託取引の契約を民事上、無効とする措置を求めた。

(写真:19日に開催された検討委員会)

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