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大きく変わるトクホの審査体制 来年度から消費者委員会に諮問せず

 消費者庁が特定保健用食品(トクホ)の許可審査手続きの合理化を図る。

 これまで消費者委員会に委任してきたトクホの表示許可にかかわる審議手続きを見直し、新年度が始まる4月から、消費者庁に設置済みの委員会を有効活用する。同委員会に、消費者委で主に効果について審議してきた調査会の委員構成を原則そのまま継承させる。審議結果は、同庁に新設される審議会に報告する流れにする。ただし、安全性に関する審議(リスク評価)は従来どおり食品安全委員会に諮問する。

消費者委、審査手続きの見直し了承

 消費者委員会は28日に開いた本会議で、トクホ許可審査手続きの見直しを了承した。消費者委は4月以降、事業者から申請のあったトクホ表示許可の適否を調査する個別審議を行わない。トクホ許可の妥当性を審議するため設置した新開発食品第一調査会と、調査会の上に置く新開発食品調査部会は廃止される。

 消費者委はこの日、審査手続きの見直しについて説明した消費者庁食品表示企画課保健表示室長に対し、これまでの審議を通じて形成されてきた許可基準などを確実に引き継ぐよう強く注文した。また、トクホのほか機能性表示食品の制度のあり方や運用を引き続き注視し、意見していく考えを強調。トクホなど保健機能食品をめぐる消費者行政に引き続き関与していく姿勢を鮮明にさせた。

今後の審議、消費者庁の諮問機関を活用

 新年度から消費者委に代わってトクホ許可に関わる審議を行うのは、「特別用途食品の許可等に関する委員会」。トクホと同様に国の許可が必要な特別用途食品に関して審議する、2017年に設置された消費者庁長官の諮問機関だ。同委員会は、特別用途食品のうち個別評価型病者用食品の表示許可にかかわる審議も担う。

 今後、同委員会の運営規定を改正し、委員会の役割に、トクホの表示許可に関わる審議を組み入れる。その上で、消費者委の新開発食品評価第一調査会の座長をはじめとする現任委員全9人を原則そのまま継承させ、引き続きトクホ許可の妥当性に関する個別審議にあたってもらう。審議結果は、食品安全委員会によるリスク評価結果も踏まえ、食品衛生基準審議会に報告。最終的に消費者庁長官が許可する。

 食品衛生基準審議会とは、厚労省が所管する食品衛生基準行政が今年4月、消費者庁に移管されるのに伴い、法令に基づき、同庁に置くことが決まっている新たな審議会だ。厚労省の薬事・食品衛生審議会の役割のうち、食品衛生基準行政にかかわる審議を担うことになる。ただ、「(審議会内に置かれる)部会などは4月以降にならないと分からない」と同庁食品表示企画課関係者は話す。同委員会が、審議会にどう紐づけられるのかも今のところはっきりしていない。

食品衛生基準行政移管が大きく影響

 審査手続きの見直しによって消費者委員会への諮問が不要になる。その分、手続き自体は簡略化されそうだ。それによって審査期間が短縮されるのかどうか。トクホの表示許可申請を行う企業にとっての焦点になる。事業者責任による届出制が採用された機能性表示食品制度の施行を受けて、申請から許可までに要する期間が長期化しがちなトクホの表示許可申請件数は大きく減少した。

 審査手続きの見直しを消費者庁主導で実行できるのは、新年度から食品衛生基準行政を所管に組み入れるとともに、審議会を設置する影響が大きい。

 トクホの制度を厚労省が所管していた当時、効果に関して審議するのは厚労省に置かれた薬事・食品衛生審議会だった。一方、厚労省からトクホ制度を引き継いだ消費者庁がこれまで消費者委に許可妥当性を諮問していたのは、同庁に審議会が置かれていないためだった。消費者委の権限を規定する「消費者庁及び消費者委員会設置法」には、トクホ制度の根拠法である健康増進法に関する権限は含まれておらず、これまでは「任意に消費委の意見を求めていた」(食品表示企画課保健表示室長)。審議会が置かれることで、その必要はなくなる。

 内閣府令(健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令)には、トクホの表示許可が申請された場合、その安全性と効果について、「食品安全委員会(安全性に係るものに限る)および消費者委員会の意見聞く」とする規定がある。今後行われる府令改正で、消費者委の部分は削除されることになる。

【石川太郎】

(冒頭の写真:28日にオンライン併用で開催された消費者委員会本会議の様子、文中の図:同日の消費者委員会本会議配布資料を基に編集部で作成)

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