国際おやつ研究会、栄養学の観点からおやつを再評価
(一社) ウェルネスフード推進協会(WFA/矢澤一良代表理事)の分科会「国際おやつ(OYATSU)研究会」は23日、第4回目となるオンラインセミナーを開催した。
講師を務めたのは、女子栄養大学副学長、栄養科学研究所長の香川靖雄氏。「健康的な間食の栄養学」をテーマに、スポーツ科学や時間栄養学、食品栄養素の評価スコアNRF(nutrient rich food)などの見地から、機能性を持たせたおやつ(菓子・飲料)が健康面に与える効果を説明した。
香川氏はまず、おやつ(間食)がどのように摂取され、健康にどのような作用を及ぼしているかを、さまざまな研究データをもとに紹介。高齢者の食品群別摂取頻度では、毎日食べる人は60%を超えており、間食は毎日の食の一部であること、女性ではフレイル予防にも有意であることを挙げつつ、「大きな問題の1つは糖分」とした。しかし、激しい運動時には糖質がなければ、TCAサイクル(クエン酸回路)はうまく回らない。そこで、「体力が必要な仕事やスポーツの前におやつを取ることは、栄養学の理にもかなっている」と、おやつの重要性を指摘した。
「日常生活でおやつを食べる際には、血糖値が急激に上昇しないよう、GI(グリセミックインデックス)値を抑えるために、緑茶などのカテキン類や可溶性食物繊維の添加も有効な手段である。さらに、時間栄養学では摂取順や食べる時間帯も重要。おやつは基本的に午前10時から午後3時の間に食べるものだが、朝方・夜型の生活の違いでは、甘いものへの欲求の数値が時間帯によって変わる」と、販売時間やライフスタイルによって、甘さの感じ方が変化することも明らかにした。
また、食品成分の表示形式にも触れて、欧州では、NRFスコアによる消費者にわかりやすい食品表示が行われており、同方式はいずれわが国にも導入されるとの認識を示した。
後半では、女子栄養大学が遺伝子と時間栄養学に基づいた栄養管理指導を行っており、BMIや血圧、空腹時血糖値の改善例も多いと報告した香川氏。講演のまとめとして、「普通の食品と違って、おやつにはいろんな機能性の栄養素を加えることができる。健康関与成分を含むおやつ開発の今後に期待したい」と述べた。
東京オリンピックの選手村食堂では、食事や間食提供の支援を行った女子栄養大学。香川氏は、その陣頭指揮にあたったエピソードも披露した。
【堂上 昌幸】