唐木英明氏「サプリメント法が必要!」 CRN勉強会で講演、健康食品の分かりにくい行政分類を批判
(一社)日本栄養評議会(CRN JAPAN)はきのう14日、第111回勉強会をオンラインで開催した。東京大学名誉教授で食の信頼向上をめざす会代表の唐木英明氏(=写真)が、「薬理学者から見た6.30措置命令~その背景と今後の対応」と題して講演。昨年6月30日に起きた九州の通販会社が販売する機能性表示食品3商品に対する消費者庁による措置命令をテーマに取り上げた。この措置命令が逸脱表示のみならず、届出表示にまで及び業界に大きな混乱を引き起こした背景を説明した。
唐木氏は、厚労行政がいまだに機能性表示食品制度を受け入れていないことも措置命令の背景にあるのではないかと指摘。その証左として、現在の厚生労働省のホームページにある、いわゆる「健康食品」のページは、以前は、健康食品の中に「いわゆる健康食品」があったが、現在は、全てを「いわゆる『健康食品』」として一括りにし、その中に「その他の『いわゆる健康食品』」と「保健機能食品」をカテゴライズするなど、非常に分かりにくい分類を行っている点を批判した(下図参照)。その原因として、「健康食品という用語を認めない、健康になるような食品は存在しないという厚労省のスタンスがあるのではないか」と説明した。
さらに、厚労省の「いわゆる『健康食品』」のページには、「安全ではないものもある、病気は治らない、体験談には偽物がある、信用できない専門家がいる」ため「飛びついてはいけない」と注意喚起するなど、効果を認めないことが厚労省の基本的な態度であることがうかがえると、厚労省のパンフレット「健康食品の正しい利用法」を示しながら話した(以下PDF参照)。
また唐木氏は、「それは消費者庁のパンフレットにおいても同様で、必要性は書かずリスクだけを書く。『飲まないほうがいい』という内容で、これは厚労省のスタンスと同じ。食品安全委員会の『健康食品」に関する情報においても同様で、飲まない方がいいという内容になっている。国民の約4割が使用し、市場規模は1兆円に迫る国民的必需品となっているにもかかわらず、国や消費者団体などは健康食品に対して『リスク強調・効果無視』のスタンスを取っている。また、効果が小さいと言われる原因が、プラセボ対象試験にあることが理解されていない」ことが大きな問題であると述べた。
「健康食品は、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品、いわゆる健康食品に分類されるが、消費者の選択が困難な状況で、国際的に見ても通用しない。また、被害の多くは『いわゆる健康食品』の経済被害だが、『厳格化』の対象は機能性表示食品となっている」と、現在の健康食品を取り巻く問題点にも言及。対策として「錠剤・カプセル形状の食品を『健康食品』として定義し規制する。多くの問題を解決するためにも、米国の『ダイエタリーサプリメント健康教育法(DSHEA)』のような法律が必要だ」と強く訴えた。
【藤田 勇一】