厚労省、HHCHを指定薬物に追加 食品に配合で健康被害、来月から製造販売禁じる
幻覚作用があるため規制されているTHC(テトラヒドロカンナビノール)に化学構造が似た危険ドラッグに当たる化合物、HHCH(ヘキサヒドロカンナビヘキソール)が配合されたグミなどを摂取した複数の人に健康被害が生じた問題をめぐり、厚生労働省はきょう(22日)、同物質を医薬品医療機器等法に基づく「指定薬物」に指定する省令を公布し発表した。施行日の来月2日以後、HHCHおよび同物質を含む製品を医療目的以外で製造、輸入、所持、使用などすることを禁じる。
厚労省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会は21日までに、HHCHは保健衛生上の危害が発生する恐れのある指定薬物に当たると判断。そう判断された物質は、健康被害を未然防止するため、パブリックコメントなどの手続きを行わず早急に指定することになっている。
厚労省によると、ことし9月以降、HHCHを含むとみられる製品を摂取した後に救急搬送された事例が全国で少なくとも8件報告されている。地方厚生局麻薬取締部は、警察などと連携して今月20日までに、当該製品を製造・販売した販売店舗など8カ所に対して薬機法に基づく立ち入り検査を実施。そのうえで検査命令と販売等停止命令を行った。
HHCHはこれまで未規制だった。THCの構造に似せて化学合成したものが国内で流通しているとみられる。それを配合したグミやクッキーを食べて体調不良を訴える人が相次いでいることがメディアで大きく報じられ、一気に耳目を集めた。厚労省の武見敬三大臣は20日の会見で、早急に指定薬物に指定したい考えを述べるとともに、摂取しないよう国民に呼びかけていた。
今後、HHCHに化学構造が似た合成化合物が次々に作られ、それらを含む食品などの製品が流通する可能性がある。そのため厚労省は、類似物質を包括的に指定薬物として規制できるかどうか引き続き検討する。
【石川太郎】