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WNG記者座談会、健食産業を展望 変化の年だから改めて訴えたい健康食品の法制化

 2023年、健康食品業界を取り巻くさまざまな問題が発生した。24年も、引き続き対応が求められるものから新たな対応を求められる事案まで、忙しい1年が始まっている。昨年、健康食品業界を直撃した重要事象をウェルネスニュースグループ編集部の記者3人が語り合った。

M&Aで変わる業界地図。勝ち残り競争激しさ増す?

記者A(以下A) 昨年1月に㈱DHCがオリックスグループの傘下に入った。買収発表は一昨年の11月で、株式取得手続きなどを進めていた。買収額は約3,000億円。会長の吉田氏が退任し、新CEOに元オルビス社長の髙谷氏が就任し新体制になった。髙谷氏の就任には驚いた。

記者B(以下B) 12月には健康食品受託製造大手の三生医薬㈱が、同業の㈱カマタの全株式を取得して完全子会社化することを発表している。一昨年から昨年にかけて業界内の企業の買収・子会社化が相次いでいるね。

記者C(以下C) 昨年だと他には、4月にキリンホールディングス㈱が豪州のサプリメント製造販売大手のブラックモアズ(Blackmores Limited)を子会社化すると発表した。このニュースは海外市場に精通する業界関係者を大いに驚かせた。

A 7月には、一丸ファルコス㈱が薬粧品の製造販売を行う白井松新薬㈱を、9月には、森下仁丹㈱が医薬品・健康食品製造販売のワダカルシウム製薬㈱の製造部門会社を分割して承継する新会社の㈱MJ滋賀を買収したよ。

C ハードカプセルメーカー大手のクオリカプス㈱を、フランスのヘルスケア大手、ロケット社(Roquette Frères SA)が買収するという案件もあったね。もともとの親会社は三菱ケミカルグループ。どうして手放したのかが気になるところ。

B 一昨年の11月には、大衆薬のアリナミン製薬㈱が、『茶のしずく』石鹸で知られる悠香ホールディングス㈱を買収している。ここ数年でM&A(企業買収・合併)案件が本当に増えてきているけど、要因は何だろうか。

A 理由はいくつかあると思うけど、後継者問題もあるのではないか。健康食品業界も世代交代のフェイズに入ったということ。他にも、買収することで自社の体力をさらにつける、ということもあるかもしれない。つまり基盤強化だね。

B さっき出てきた三生医薬は、一昨年の3月に東和薬品グループ傘下に入って(買収発表は21年12月)、その上でカマタを買収したわけだし、動きが本当に激しくなっているよね。

A 健康食品業界でもM&Aはしばらく続いていくんじゃないかな。今年も各社の動向から目が離せないと思う。

行政移管で新・消費者庁に。健食業界に及ぼす影響は

B 個別評価型疾病リスク低減トクホで、DHA・EPAの心血管疾患リスク低減表示が許可された。この件や機能性表示食品を含めて、今後、消費者庁や業界がどう動いていくのかを全体的に見ていく必要があるな。

A 疾病リスク低減表示は、ある意味、トクホの存在意義だよね。機能性表示食品では認められていないから。機能性表示食品制度が始まってしばらくしてから業界の一部ではトクホ不要論が言われるようになっていて、そのとおりだと感じる面もあるのだけど、疾病リスク低減表示に関してはもっと広がっていいと思う。そここそがトクホの生きる道だという気がする。

B 機能性表示食品の6・30措置命令を受けて、規格基準型を導入するとかいう話が出てきたな。消費者庁は、機能性表示食品の今後について、「こうあるべき」という絵をしっかり描いているんじゃないかな。

A 規格基準型の導入について消費者庁は、決まったことは一切ない、と言っている。でも、「導入すべき」というのが本音である気がするな。トクホの規格基準型を拡充するのか、機能性表示食品の中に規格基準の枠組みを新たに設けるのか、保健機能食品の第4のカテゴリーとして規格基準型を設けるのか。あるいは、そんな話はなかったことになるのか。来年度以降の動きに注目する必要があると思う。

B 今、保健機能食品も含めていわゆる健康食品とする分類がされているけど、もともとはいわゆる健康食品と保健機能食品は区別されていた。保健機能食品は食品表示基準で定義付けされているけど、いわゆる健康食品に法的定義はない。それを考えると、保健機能食品も含めていわゆる健康食品と一括りにする分類はどうなのだろうか。消費者庁は健康食品を大きな1つの方向性に持っていこうとしているように見えるけど、本当にできるのだろうか。

C 食品衛生基準行政が厚労省から消費者庁に移管されると、消費者庁は健康食品の安全性などに関するルール作りもできる立場になる。GMPの義務化だとか、健康食品の安全性に関して国がもっと関与するべきだという意見があって、今後の消費者庁にはそこを期待したいと僕は考えている。だけど、本当にできるのだろうかとも思う。これまでのように堂々巡りではなく、話を前に進めていくためには、やはり健康食品だったりサプリメントだったりを法的に定義する必要があるのではないか。

B 海外にはしっかり法制化している国もあるのだから、やってやれないことはない。業界団体がリーダーシップを発揮してほしいけど、どうだろうか。

A 法制化を求める声は業界内でも少なくないと思う。業界団体の幹部からもそうした声は聞かれる。ただ、今のところ、それに向けて旗を大きく振る人だったり、グランドデザインを描ける人は見当たらない。いくつも団体があるから、考え方をまとめきれないということもあるのかもしれない。法制化に関しては、業界団体の考え方を1つにまとめていかないと、行政としてもどうしていいか分からないだろうね。

B そもそも業界団体は業界を代表しているのかな?

(⇒つづきは会員ページへ)


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