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健康食品GMP実践的対応ガイド(5) 【寄稿】GMP体制の構築②~文書体系(製品標準書・基準書・手順書)の作り方

㈱シーエムプラス シニアコンサルタント 田中良一

 前回は、GMPを支える経営層と主要な責任者の役割について解説しました。第5回では、その組織が活動するためのルールブックであり、GMPシステムの骨格となる「文書体系」に焦点を当てます。GMPは「文書化されたシステム」であり、適切な文書の整備なくしてGMPの遵守はあり得ません。

1.GMPにおける文書の役割
 GMPにおける文書は、単なる記録用紙ではありません。それは、誰が、いつ作業しても、常に同じ品質の製品を製造するための「道しるべ」であり、組織の知識やノウハウを形式知として蓄積・伝承するための重要なツールです。適切な文書体系は、作業の標準化、品質の均質性確保、そして活動の再現性を保証します。

2.製品のレシピ:「製品標準書」
 製品標準書は、その製品に関する全ての情報を集約した、いわば「製品のレシピ」です。製品ごとに作成し、製造所ごとに備え付ける必要があります。
• 主な記載事項:
 o 製品名、成分・分量
 o 原材料及び最終製品の規格、試験検査方法
 o 詳細な製造方法、手順、各工程の管理基準
 o 保管条件や有効期間
 o 委託製造に関する取り決め
作成のポイント:製品標準書に記載される内容は、機能性表示食品の届出内容と一致している必要があります。内容に変更が生じる場合は、必要に応じて変更管理の手順に従い、実際の運用状況を変更するとともに、製品標準書は適切に改訂・承認されなければなりません。

3.製造現場のルールブック:「製造管理基準書」
 製造管理基準書は、製品ごとではなく製造所ごとに作成される、製造現場全体の運営ルールを定めた文書です。
• 記載事項:
 o 原材料や製品、中間品の受け入れ、保管、出納に関する管理方法
 o 各製造工程の管理、記録方法
 o 製造設備や器具の点検整備、清掃、校正に関するルール

4.品質管理のルールブック:「品質管理基準書」
 品質管理基準書も製造所ごとに作成され、試験検査を中心とした品質管理活動全般のルールを定めます。
• 記載事項:
 o 検体採取(サンプリング)の方法
 o 各種試験検査の実施手順と結果の判定基準
 o 保管サンプルるや試薬・標準品の管理方法
 o 試験検査に関する設備・器具の点検整備に関するルール

5.具体的な作業の道しるべ:手順書
 上記の基準書が「何をすべきか(方針)」を定めるのに対し、手順書は、どのように実行するか(具体的な手順)を詳細に記載したマニュアルです。告示では、最低限、以下の7つの手順書の作成が義務付けられています。

 1.出荷の管理に関する手順
 2.バリデーションに関する手順
 3.変更の管理に関する手順
 4.逸脱の管理に関する手順
 5.品質情報等の処理に関する手順
 6.自己点検に関する手順
 7.文書及び記録の管理に関する手順

 これらに加え、その他必要な手順書の例としては、教育訓練や個別の設備操作、清掃などに関する手順書も必要に応じて整備することが重要です。

 適切な文書体系の構築は、GMPの第一歩です。しかし、文書は作って終わりではありません。それらが現場で正しく理解され、遵守されて初めて意味を持ちます。

     次回は、これらの文書に基づいて行われる日々のGMP活動について、原材料の受け入れから製品出荷までの一連の流れを具体的に解説します。

    【編集部より】本連載(全9回)は原則、週1回のペースで掲載します。また本連載は、シーエムプラスが運営する「GMP Platform」にも掲載されます。

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    健康食品GMP実践的対応ガイド(1)なぜ今、適正製造規範への適切な対応が求められるのか
    同(2)健康食品GMPの全体像~医薬品GMPとの類似性と責任の所在
    同(3)GMPの基本~「品質は作り込む」という思想とGMP三原則
    同(4)GMP体制の構築①~経営層の責務と主要な責任者の役割

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