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ネオキシンE明治事件(2) 健康食品広告・表示の「判例」解説

堤半蔵門法律事務所 弁護士 堤 世浩 氏

<販売等会社Xの控訴理由>

販売等会社のXが控訴した理由を見ていく。まず、Xは『ネオキシンE明治』が医薬品に該当するかどうかの判断基準について、次のように述べた。

・薬事法(現・医薬品医療機器等法)2条1項2号で言う「医薬品」とは、その物の成分、形状、名称、その物に表示された使用目的・効能効果・用法用量・販売方法、その際の演述・宣伝などを総合して、その物が通常人の理解において「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている」と認められるものを言い、これが客観的に薬理作用を有するものであるか否かを問わない。

・薬事法が医薬品の無許可販売を禁止・処罰している主な理由は、医薬品が有する薬理作用のために、副作用や中毒などの積極的な弊害が生ずることを防止することのほか、客観的な薬効の保障のない物質を野放しにすると、国民に適時・適切な医療を受ける機会を失わせる恐れがあり、国民の健康に対して消極的な弊害を生ずることから、これを防止する点にある。

・そうであるならば、人の健康上、有益かつ無害な物質については、その薬効を標ぼうして販売したからといって、直ちに「医薬品」に当たると考えるべきではない。その名称、形状、用法、販売方法などとあいまち、標ぼうされた薬効に対する国民の不当な過信を生ずる恐れがないものは、その無許可の製造・販売を刑罰によって禁止するだけの実質的根拠はないため、「医薬品」に当たらないものと考えるべきである。

その上で、次のとおり展開し、『ネオキシンE明治』は医薬品に該当しないと争った。

・特に、いわゆる健康食品として販売されている物については、本来、食品の成分と効能を演述・宣伝することが憲法上も保障されるべきである以上、標ぼうされた効能効果に対する国民の知る権利と、標ぼうされた薬効に対する国民の不当な過信を招く危険性とを比較衡量して、慎重に「医薬品」か否かを判断すべきである。

・『ネオキシンE明治』は、その成分本質が客観的に「多量のビタミンEを含む天然濃縮植物油」という自然食品で、人の健康に有益無害であり、かつ一般国民の認識においても人の健康に対する不当な過信を生ずる危険性がなく、かえってその演述・宣伝の内容は消費者側にとって有益な多くの情報が含まれていることから、通常人の理解においても「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」とは認められず、単なる「健康食品」であって、薬事法2条1項2号で言う「医薬品」には当たらない。

(つづく)

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