健康食品広告で頻尿改善効果、適格消費者団体がインシップに「事前請求書」
ノコギリヤシを用いた健康食品の広告が景品表示法に違反するとして、適格消費者団体の消費者ネットおかやまはこのほど、健康食品販売会社の(株)インシップ(千葉県浦安市、小野伸二郎社長)に対し、消費者契約法に基づいて「事前請求書」を送付したと発表した。これにより、同社に対して差止請求訴訟を起こすことが可能となった。
消費者ネットおかやまは、全国紙に掲載された同社の健康食品『ノコギリヤシエキス』の広告を問題視。広告を見た消費者に対し、頻尿を改善する効果があるとの認識を与えるとして、表示の中止を求めている。
広告では、「夜中に何度も…」、「中高年男性のスッキリしない悩みに!」などと記載。そうした文言とともに、寝間着を着た男性が下半身を震わせながら扉のノブに手をかけているイラストを用いて、「何度も…ソワソワ…」と表示していた。また、「飲んでみたら、早めにスッキリした」、「寒い時期も乗り切れそうです」といった体験談も掲載していた。
消費者ネットおかやまでは、広告を見た消費者が、同商品の摂取により、頻尿改善効果が得られると「認識する可能性が極めて高い」と指摘。広告全般から、「頻尿の悩みが改善する印象を与えるものであることは明らか」と判断した。
表示の根拠が乏しい点については、国立健康・栄養研究所の「『健康食品』の素材情報データベース」で、「前立腺肥大症に対する作用など、一部にヒトでの有効性が示唆されていたが、現時点では効果がないことが示唆されている」と説明していることや、大規模臨床試験によって効果が示されなかったことを挙げた。
これらを前提に、広告は消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景表法に違反するとしている。
消費者ネットおかやまは同社に対し、今年7月12日と7月26日に、広告が景表法違反に当たるとして改善を求める「申入書」を送付したが、同社は受け取りを拒否したという。このため、「裁判上の差止請求権を行使せざるを得ないとの結論に」達したと説明している。