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健康被害疑い情報めぐる調査結果 届出GLへの抵触認められず、一方で因果関係「否定できず」70件超

 届出後の機能性表示食品の健康被害情報の収集・評価・報告の実施状況の確認──小林製薬㈱(大阪市中央区)が販売した機能性表示食品のサプリメントに生じた健康被害問題を受け、消費者庁が3月下旬、全ての機能性表示食品(6.795件)を対象に緊急で実施した確認の結果が24日までにまとまった。

医学・薬学の専門家7人が評価

 同庁の発表によると、2015年4月の機能性表示食品制度施行以来、21届出者31製品について、のべ82件の健康被害に関わる情報が医療従事者から届出者に寄せられていた。そのうち5件は、小林製薬が販売していた回収命令対象製品に関する情報。また、82件中75件がサプリメント形状の加工食品に関して寄せられた情報だった。

 先月中旬の中間報告では、147件と発表していたが、その後の追加調査で、そもそも機能性表示食品に関わる情報ではなかった(43件)、当該製品の容器に入れた洗剤の誤飲だった(2件)、医師等からの確認の問い合わせのみであった(3件)──などといった事例が含まれていたことが判明し、件数が大幅に減った。

 21届出者は、健康被害の発生や拡大の恐れはないと判断し、同庁に報告しなかった。この判断が適切であったか、医薬や薬学の専門家7人も交えて検証したところ、小林製薬の5件を除く77件の全てが、速やかに同庁へ報告すべき事案と直ちに判断できるものではなかったという。健康被害情報の報告に関する届出ガイドライン規定への抵触もなかったことになる。

 ただ、77件の健康被害情報の内容を専門家7人が評価したところ、因果関係が「確実」と評価できる事案はゼロ件だったものの、「否定できない」が21件、情報不足のため「不明」は55件に上った。うち4件は重篤と判断された。因果関係が「おそらく否定できる」と評価出来たのは1件にとどまった。

 因果関係が「否定できない」及び「不明」の76件について専門家は、現時点で直ちに健康被害の発生や拡大の恐れがあるとは判断できないと判断。ただ、消費者庁は、医師の診断を伴う健康被害疑い情報を把握した場合は、因果関係が不明だとしても、同庁や保健所に速やかに報告するよう76件の届出者に通達した。専門家は、「情報がまだ不十分な状況であっても、医師の診断が得られているものにあっては、できるだけ早く保健所等に提供の上、公的機関によると調査に移行する仕組みが望ましい」とコメントしているという。

 消費者庁は、機能性表示食品制度を見直す。見直しでは、有識者で構成する検討会の提言などを踏まえ、医師の診断を伴う健康被害疑い情報について、同庁や保健所への報告義務を届出者に課す。届出者が判断に迷わず情報提供を行えるよう、提供すべき事案や提供期限などの提供ルールも示す。提供された健康被害疑い情報の公表に関する基準も示す見通し。

【石川 太郎】

関連資料:届出後の機能性表示食品の健康被害情報の収集・評価・報告の 実施状況
の確認結果(消費者庁ホームページへ)

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