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健康被害情報、公開の上で審議 厚労省・新開発食品調査部会、情報収集の強化を確認

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会、食品衛生分科会新開発食品調査部会が16日にオンライン会議を開き、指定成分等含有食品など健康食品との関連が疑われる健康被害情報に関して審議した。

 この日の議題のうち、培養肉に関する審議は事業者ヒアリングを行うため非公開としたが、それ以外は公開の上で審議。厚労省では、健康被害情報の届出を事業者に義務付けている指定成分等含有食品「以外」の健康食品に関しても、関連が疑われる健康被害情報の公表を今月から始めており、この日の部会では、因果関係の把握などを目的に、健康食品との関連が疑われる健康被害情報の収集を強化していくことを改めて確認した。

 厚労省食品基準審査課新開発食品保健対策室のまとめによれば、指定成分等含有食品に関する健康被害情報の報告件数は減少傾向を示している。2022年は計133件と、前年の190件から約60件減少した。指定成分等含有食品の制度が施行された20年は、制度施行日の6月1日から12月末までの約半年間で計198件と200件に迫っていた。

 現在4つある指定成分等含有食品のうち、販売数量が最も大きいとみられるコレウス・フォルスコリに関する22年の報告件数は87件となり、前年比でおよそ3割減少した。ブラックコホシュに関しても大幅な減少傾向を示し、同7月から12月まで報告件数ゼロ件が続いた結果、前年49件から10件にまで減った。ブラックコホシュに関する報告件数が大きく減少した背景について新開発食品保健対策室では、これまで報告の主体であった製品の製造販売が中止されたことを挙げている。

 ただ、ブラックコホシュと、同じく指定成分等含有食品であるプエラリア・ミリフィカを複合したものに関しては22年、報告件数が前年および前々年比で2倍以上増加して17件となった。また、プエラリア・ミリフィカ単体に関しても報告件数が前年比で増加(21年14件→22年19件)しており、この日の部会では、「(指定成分等含有食品との関連が疑われる健康被害情報は)案外減っていない、という見方もできる」との意見も上がった。

 他方、指定成分等含有食品以外の健康食品との関連が疑われる健康被害情報の報告件数は、22年が4件、21年が7件、20年6月~12月が7件と1ケタ台で推移し、2年半で合計18件だった。この数字の受け止めについて、部会メンバーのうち医学を専門とする有識者は、「少ない。現場実感としてはもっと高頻度」だと指摘する。ただ、いずれも因果関係は明確でなく、少なくとも現時点では、緊急の対応を要するものでもない。新開発食品保健対策室省によれば、有識者ワーキンググループはこの18件について、「更なる検討・審議が必要な健康被害事例等はない」と判断している。

 厚労省では、指定成分等含有食品制度の施行後、それ以外の健康食品に関しても、保健所などから報告が上がってくる健康被害情報を収集し、何らかの対応が必要な情報かどうか、有識者で構成されるワーキンググループに検討を求めていた。

 指定成分等含有食品と異なり、健康食品やサプリメントには法制度上の定義がなく、健康被害情報を報告する義務もないが、厚労省は、健康被害の未然拡大防止を防ぐことを目的に、指定成分等含有食品と同様、健康食品との関連が疑われる健康被害情報の公表を制度化。今月から製品名や配合成分名などを伏せた上での公表を始めていた。今後、日本医師会や日本薬剤師会といった医療従事者団体などにも情報提供を求めていく。

【石川太郎】

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