健康被害の大部分はいわゆる健康食品 WNGプレミアムセミナーセッション2で唐木氏が解説
㈱ウェルネスニュースグループ(WNG、東京都港区)はきのう26日、プレミアムセミナー「機能性表示食品『紅麹サプリ』が残した大きな課題~そしてこれから」をオンラインで開催した。
計4回にわたるセミナーで、今回はその2回目。セッション2「行政と事業者の動き」と題して開催した今回、まず初めにWNG担当記者が、健康食品の安全性確保を巡る「2大通知」と機能性表示食品制度改正の関係や健康被害情報の収集・報告義務化について説明した。また、なぜ府令・政省令なのか、今回の事件の何が問題だったのか改めて振り返った。
特別講師として、東京大学名誉教授で食の信頼向上をめざす会代表の唐木英明氏が講演。
唐木氏は、「今回の紅麹由来サプリによる健康被害は、機能性表示食品として初めての事案で、これまでの健康食品による健康被害の大半は、『いわゆる健康食品』によるもの。それは、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の『健康食品』の安全性・有効性情報でも明らかとなっており、健康被害があった注意喚起情報の内訳では、そのほとんどが無承認無許可医薬品によるもの。因果関係が明確な被害のほぼ全てが『いわゆる健康食品』となっている」と指摘した。
安全性の確保、今のままで良いのか?
さらに安全性を守るためにどうすべきかについて唐木氏は、「成分の安全性について、医薬品は毒性試験(動物実験など)を実施しているが、食品は長い食経験が基本。健康食品も食品のため基本は長い食経験があることとなっている。また、錠剤カプセル状の製品も長い食経験があることが基本で良いのか考える必要がある。製品の安全性(製造工程の安全性)については、医薬品はGMPを義務化しているのに対して、食品はHACCPしか義務化していない。指定成分はGMPを義務化しており、今回の措置でサプリ状機能性表示食品だけGMP義務化し今後トクホに拡大予定としているが、最大の問題は、ここから「いわゆる健康食品」が抜け落ちていること」と指摘した。
錠剤カプセル問題について唐木氏は、「食品中の成分を濃縮し複数成分を含有したものを長期間定期的に自己判断で摂取しており、医薬品と併用などのため安全性に問題が起こることがある。かつては錠剤カプセルは医薬品に限定され食品に使うことはできなかったが、米国サプリ業界の圧力もあり2001年に解禁した。『いわゆる健康食品』の大部分は錠剤カプセルであり、多くの健康被害を引き起こしていることから、錠剤カプセルの禁止が『いわゆる健康食品』の被害をなくすために必要だが、そのためには法律が必要だ」と話した。また、「法律上一般食品であり、特別の規制はなく安全性と効果についての科学的根拠(論文)も示さない(存在しない)。一方で、機能性表示食品による被害は今回の紅麹だけ。またトクホは国の審査があるから信用できる、機能性表示食品は国の審査がないから信用できないという意見もあったが、それに科学的根拠はあるのか。多くの議論は効果に関するもので、安全性に関する議論は“事故が起こったから機能性表示食品は危険”という単純な発想。紅麹事件は製造工程管理の問題であり制度の問題ではないことが理解されていない」と指摘した。
次回のセッション3「規制の現状と課題」は、9月12日午後2時から開催する。テーマは「機能性表示食品の規制の現状と課題」について。今回同様、WNG記者による報告と解説、唐木氏による講演を行う。
連続セミナーは、10月末までYouTube「ウェルネスデイリーニュース」チャンネルで見逃し配信を行っている。アーカイブ動画視聴をご希望の方について、下記から申し込みを受け付けている。
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お問い合わせ先:㈱ウェルネスニュースグループ(TEL:03-6205-8181、E-mail:info@wellness-news.co.jp)
(冒頭の写真:講演した唐木英明氏)