1. HOME
  2. その他
  3. 井上大臣、改正特商法をめぐり参院本会議で答弁

井上大臣、改正特商法をめぐり参院本会議で答弁

 井上信治内閣府特命担当大臣は21日午前、3月5日の閣議決定後、国会で審議されている「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」(改正特商法、預託販売法案)について、参議院で行われた質疑で答弁した。

 質疑では、野党議員から「預託法はなぜ全面禁止でなく、原則禁止としたか」、「送り付け商法はなぜ禁止としなかったか」、「契約書面の電子化がなぜ改正案に盛り込まれたのか」などの質問が行われた。
 特に、契約書面の電子化については日本共産党の大門実紀史議員から厳しい追及を受けた。大きな被害を出し、今も係争中のジャパンライフ事件では、「契約書が(紙で)残っていたからこそ弁護士が訴えることができた」、「これまでの詐欺事件は本人同意の上で事件となっていた。電子書面に承諾のボタンを押せば契約が成立してしまう」などと主張。改正案を酷評した。

 また、ヒアリングで明らかになった事実とし、「当初事務方は、規制改革推進会議から要望のあったオンラインの英会話教室など一部の事業者だけに契約の電子化を認めることを考えて井上大臣に報告したところ、『言われたことだけやるのではなく、自ら進んで全部やれ』と指示をされ、特商法における全ての契約を電子化することになった」などと述べ、菅総理が看板として掲げるデジタル化に対し、「消費者よりも総理の方を向いて、その成果を示したかったのではないか」と指摘。井上大臣に対し、「消費者担当大臣失格」と非難し、猛省と電子化の削除を求めた。
 
 これに対し井上大臣は、書面の電子化を進める理由として、急速に進化する国民生活におけるデジタル化に対応する施策は必要。また、新型コロナウイルス感染症の対策が求められるなか、人との接触を減らす日常生活の実現も重要だと答えた。
 さらに、「電子化に対して不安が寄せられているのは承知している」とし、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による交付ができるようにしたと繰り返し述べ、「法案成立後、消費者相談の現場の声を真摯に聞きながら、消費者が被害を被らないように政省令を定めて万全な制度設計を行っていく」と述べた。

【解説】
 同法案は3月5日、閣議決定し204通常国会で審議入り後、案文修正を経て5月18日に衆議院で可決、参議院で修正議案が受理されている。
 衆議院における賛成会派は、自由民主党・無所属の会、公明党、日本維新の会・無所属の会、国民民主党・無所属クラブ。反対会派は、立憲民主党・無所属と日本共産党である。

 修正箇所は特定商取引法案の9・24・40・48・58条1項と58条の14、販売預託法8条において、「当該書面を発した時」とあるのを「当該書面又は電磁的記録による通知を発した時」と修正。第2項「記録媒体に記録された電磁的記録 当該記録媒体を発送した時」を削除するとしている。また、14日に衆院消費者問題特別委員会で契約書面のデジタル化などを盛り込んだ改正案が可決された際、施行までの期間が1年から2年に延長された。
 通常国会の会期は6月16日。消費者庁は「今国会での成立を期する」としている。

【田代 宏】

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ