睡眠ケア機能を訴求できる天然物由来の新たな機能性関与成分を誕生させようと、食品添加物・機能性食品素材商社のサンブライト㈱（東京都中央区、市川剛士代表）が取り組みを進めている。以前から輸入販売している、乳たんぱく由来の機能性食品素材を、機能性表示食品のステージに引き上げる。海外でヘルスクレームを認められてきた経緯のある素材だが、今秋にも日本国内で臨床試験（RCT）を実施する。

「ラクティウム」を機能性表示対応素材へ

　サンブライトが機能性表示食品対応素材化を目指して臨床試験などの準備を進めているのは「Lactium（ラクティウム）」を製品名（登録商標）とする機能性食品素材。乳たんぱくや乳由来機能性食品原材料の研究開発、製造販売を専門的に行うフランスのINGREDIA社が開発した乳由来素材（乳たんぱく加水分解物）で、サンブライトでは、同素材の輸入販売を10年以上前から手掛けている。

　機能性関与成分とするのは、ラクティウムの規格成分でもあるデカペプチド（as-1-カゼインF91）。同社によると、ラクティウムが開発された背景には、「赤ん坊が母親の母乳を飲むと安らぐのはなぜか」という素朴な疑問があり、その後の研究で見出されたのが、乳たんぱくのトリプシンによる加水分解で生成される特定のデカペプチドだった。as-1-カゼインF91はそれに当たる。

　このデカペプチドには、人をリラックスさせたり、眠りを良くしたりといった機能があると考えられている。ただ、人は成長するにつれ、主要なたんぱく分解酵素がトリプシンからペプシンへと変わるため、同デカペプチドが生成されづらくなるとされる。

フランスや韓国などでヘルスクレーム許可

　このデカペプチドを規格化したラクティウムの機能性をめぐっては、特に、精神的なストレスに対する有効性が複数の臨床試験から示唆されており、論文発表もされてきた。海外では、ラクティウムを配合したサプリメントなどについて、精神的なストレス緩和機能に関するヘルスクレームを認めている国も複数ある。同社によれば、これまでにフランスを始めオーストラリア、韓国がヘルスクレームを許可しているという。

　また、ラクティウムの機能性を報告する一連の文献からは、精神的なストレス緩和以外に、睡眠の質を改善する働きも有する可能性が示唆されている。このため同社では、機能性表示食品制度施行後、比較的すぐのタイミングで研究レビューに着手。精神的なストレスと睡眠の質に対する機能をダブルで表示できるようにする準備を進めた。だが、文献の内容が機能性表示食品の届出要件に合わず、具体的には被験者に関する要件が合致せず、届出をいったん見合わせた経緯がある。

臨床試験は今秋スタート　論文は年明け以降に

　一方、ストレスケアおよび睡眠ケアの枠組みにおいて、消費者イメージも良い乳由来の機能性関与成分は他に見当たらなかったためか、引き合いが続いた。一般健康食品ではなく機能性表示食品として販売できるようにすることを求める声も少なくなかった。

　そのため同社では、研究投資を行い、国内で新規に臨床試験を実施し、機能性表示食品対応素材として供給できるようにする道を選択。今秋にも試験を開始し、年明け以降に論文を取りまとめる。その後、研究レビューなどを実施した後、最終商品販売会社らへの届出サポートを開始できるようにしたい考えだ。

　国内で実施する臨床試験では、ラクティウムの摂取が睡眠の質に及ぼす機能を主軸に検証する予定だ。精神的なストレスに及ぼす働きも副次的に確かめることにしている。

＜COMPANY　INFORMATION＞
所在地：東京都中央区日本橋堀留町2-8-4 日本橋コアビル6階
TEL：03-3666-1811
URL：https://www.s-bright.com/
問合せ：https://www.s-bright.com/contact/
事業内容：食品および食品添加物、飼料および飼料添加物の製造・輸入・販売

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