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三生医薬、静岡から世界を目指す 今村社長「新たな研究開発拠点が成長ドライバーに」

 健康食品受託製造大手の三生医薬㈱(静岡県富士市)は、25億円を投資して今月竣工した新たな研究・開発拠点「イノベーションセンター」のメディア向け発表会を24日、現地で開いた。冒頭挨拶に立った今村朗代表取締役社長は、イノベーションセンターの建設は「以前からの念願だった」と述べた上で、「静岡発のグローバル企業を目指すにあたって非常に大きなドライバーになる」と新たな研究開発拠点の役割を説明した。独自の製剤・カプセル技術や機能性食品素材などを新拠点で生み出し、世界に向けて発信していきたい考え。

今月竣工の「イノベーションセンター」お披露目

 イノベーションセンターは、同社の主要生産拠点「南陵工場」(富士市南陵)に隣接するかたちで建設。主力とするソフトカプセルの生産と、製造・品質管理を含めた研究開発部門の連携強化を図った。地上2階建ての構造で延床面積は2,441平方メートル。2階の広いワンフロアにオフィススペースと研究開発ラボを一体的に配置し、これまで複数の事業所に点在していた研究開発に関わる全9部門を集約した。

 同社は新たな研究開発拠点を、オープンイノベーションの拠点としても運用していく考え。そのためオフィスにはフリーアドレス制を採用。また、通信インフラを強化しウェブ会議専用ルームを設けるなどして、外部とのコミュニケーションも促進できるようにした。これにより、2021年に東京・大井町に開設した、顧客から開発・製造の依頼を受けた新規製品などの試作体験ラボ「アプリケーションディベロップセンター」(ADC)との連携も強化。試作から本生産に至るまでの期間縮小などを通じて顧客サービスの充実化につなげる。ラボ内にもオンライン会議用のスクリーンを設置した。

 発表会で今村社長に続いて登壇した又平芳春・イノベーションセンター長(常務取締役)は、新たな研究開発拠点のビジョンを説明。「三生医薬の『独自技術』と『科学的根拠』、それらに取り組む我われの『情熱』、そして社内外パートナーとの『共創』の4つを循環させながら、健康寿命延伸などの社会的課題や足元の事業ニーズなどに対して新たな価値を生んでいきたい」と展望を述べた。

独自製剤化技術「ユニオーブ」の開発拠点にも

 一方、イノベーションセンターの1階は生産エリアとした。「グローバル企業を目指すための大きなドライバーになる」(今村社長)と位置付ける独自の製剤化技術「ユニオーブ」を適用した製剤の開発や生産に特化したエリア。高薬理活性物質に対応できる設備も導入した医薬品GMP適合施設として運用する。

 ユニオーブ技術を適用できる生産設備を導入するのは今回が初めて。イノベーションセンターで開発、試作を重ねながら、医薬品からサプリメントまで実用化を目指す。現在、まずはジェネリック医薬品を含めた医薬領域での実用化に向けた具体的な検討が進んでいるという。同センター内での量産化も視野に入れている。

技術で「経口剤の可能性を拓く」

 同社によると、ユニオーブ技術を適用することで、既存の製剤では配合するのが難しい医薬品成分や機能性食品素材などを配合できるようになる。例えば、溶解度が低いため十分な吸収性を確保できない医薬品成分の製剤化には経口製剤以外が選ばれるが、物質に可溶性を付加できるユニオーブ技術を適用すると吸収性が高まり、経口剤としても製剤化できるようになる。

 他にも、胃で分解されやすい物質が消化管まで届くように保護したり、大腸に届ける必要のある物質が小腸で吸収されるのを抑えたりといった変化を物質に付加することが可能で、「経口製剤の可能性を拓く技術になり得る」という。

 発表会の第2部では、ユニオーブ技術について同社と共同研究を行っている静岡県立大学薬学部の尾上誠良教授(薬剤学分野)が「ユニオーブへの期待 医薬品の開発可能性を高めるゲームチェンジャー」と題して講演。ユニオーブ技術は「さまざまな薬剤の経口投与を可能にする可能性がある」とした。

 また、今年3月から同社の親会社になったジェネリック医薬品メーカー大手、東和薬品㈱の基盤技術本部長兼創剤研究部長の奥田豊氏(執行役員)も登壇し、「ユニオーブ技術は汎用性が高いプラットフォーム技術。共同研究しながら、医薬だけでなく健康も含めた幅広い分野で活用できるようにしたい」と述べた。

【石川 太郎】

(冒頭の画像:登壇した三生医薬の今村社長。下の画像:イノベーションセンターの外観。奥は南陵工場。動画はイノベーションセンターのプロモーション動画。ラボなど内部の様子を確認できる。いずれも同社提供)


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