一からわかる!化粧品広告規制~中級編(前)
今村行政書士事務所所長(化粧品薬事コンサルタント・MBA)
今村 彰啓 氏
前編:医薬品等適正広告基準について
<不快・不安感の暗示の制限が追加>
医薬品などによる保健衛生上の危害を防止するため、医薬品などの広告については、その内容が虚偽誇大にならないように適正を期するため、薬機法(医薬品医療機器等法)や医薬品等適正広告基準などにより、指導・取り締りが行われている。薬事法(現・薬機法)改正に伴い、2002年には医薬品等適正広告基準が一部改正された。種々の商取引において、電子メールを使用した商業広告(いわゆる迷惑メール)により、さまざまな被害が社会問題化したことを踏まえて、以下の「12の2」が加えられた。
医薬品等適正広告基準には、以下の15項目の基準が示されている。
1.名称関係
2.製造方法関係
3.効能効果、性能および安全性関係
4.医薬品等の過量消費または乱用助長を促す恐れのある広告の制限
5.医療用薬品等の広告の制限
6.一般向広告における効能効果についての表現の制限
7.習慣性医薬品の広告に付記し、または付言すべき事項
8.使用および取り扱い上の注意について医薬品等の広告に付記し、または付言すべき事項
9.他社の製品の誹謗(ひぼう)広告の制限
10.医薬関係者などの推せん
11.懸賞、賞品などによる広告の制限
12.不快、不安などの感じを与える表現の制限
12の2.不快、迷惑などの感じを与える広告方法の制限
13.テレビ、ラジオの提供番組などにおける広告の取り扱い
14.医薬品の化粧品的もしくは食品的用法または医療機器について美容器具的もしくは健康器具的用法についての表現の制限
15.医薬品等の品位の保持など
このなかで、化粧品広告で特に問題になるのは「効能効果、性能および安全性関係」である。「効能効果、性能および安全性関係」には、以下の9項目が示されている。
(1)承認を要する医薬品等についての効能効果などの表現の範囲
(2)承認を要しない医薬品および医療機器についての効能効果などの表現の範囲
(3)承認を要しない化粧品についての効能効果の表現の範囲
(4)医薬品等の成分およびその分量または本質並びに医療機器の原材料、形状、構造および寸法についての表現の範囲
(5)用法用量についての表現の範囲
(6)効能効果または安全性を保証する表現の禁止
(7)効能効果または安全性についての最大級の表現またはこれに類する表現の禁止
(8)効能効果の発現程度についての表現の範囲
(9)本来の効能効果などと認められない表現の禁止
このなかで、特に問題となる以下の2項目について、「化粧品等の適正広告ガイドライン」を基に、次回以降で解説したい。
・「承認を要しない化粧品についての効能効果の表現の範囲」
・「効能効果又は安全性を保証する表現の禁止」
「化粧品等の適正広告ガイドライン」は、日本化粧品工業連合会(粧工連)によって、薬機法と医薬品等適正広告基準の趣旨に基づき、自主的に遵守すべき指針として定められた。
(つづく)