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ユーグレナEOD-1株めぐり回す2つの車輪 神戸製鋼グループ、対消費者・対事業者を同時に

 「金色のユーグレナ」とも呼ばれる神戸製鋼グループの独自ユーグレナ「EOD-1株」。研究開発を行った㈱神鋼環境ソリューション(神戸市中央区、佐藤幹雄代表)が健康食品市場に投入してから5年超が経過した。β-グルカンの一種であるパラミロンを高含有(70%以上)するのを最大の特長とするEOD-1株は、現在までに機能性表示食品対応素材となり、BtoC(対消費者)とBtoB(対事業者)の両輪を回すかたちで市場拡大が図られている。これまでの経緯を振り返りつつ今後を展望する。

本格化させた原材料販売 届出サポートも

 神鋼環境ソリューションが、屋外でなく密閉プラント内で培養するユーグレナEOD-1株を用いた健康食品事業に参入したのは2017年1月。参入の背景には、同社が微生物の浄化作用を手本にした水処理事業や、醸造用タンクなど食品機械製造事業を手掛けていたことがある。総売上高が2兆円に迫る神戸製鋼グループが食品事業に参入するのは初だったこともあり注目を集めた。いわゆる「異業種参入」の中でも大型案件だったといえる。

 事業は予定通りOEM(相手先ブランドでの製造)からスタート。その後18年に100%子会社ミカレア㈱(神戸市中央区、大谷和由代表)を立ち上げ、ユーグレナEOD-1株の粉末を配合したサプリメントの消費者向け直販に乗り出す。そして21年3月には、国内外からの需要に幅広く応えるための製造販売体制が整ったことを受け、原材料販売を本格化させた。時間は掛かったものの、このようにして当初から予定されていたBtoCとBtoBの事業の両輪が回り出すことになった。

 その間にユーグレナEOD-1株は、70%以上と高含有するパラミロン(β-1,3-グルカンとして)を機能性関与成分とするかたちで機能性表示食品対応素材になっている。同社が健康食品事業に参入したのは機能性表示食品制度が施行(15年4月)された後。もともと機能性表示食品市場を軸にした販売展開が構想されており、事業参入以前から、EOD-1株由来パラミロンの機能性や安全性などを検証する研究が進められていた。

心と体、ダブルの疲労感軽減機能

 一定のエビデンスが揃ったことを受け、20年2月、ミカレアが初の届出を実施。これが現在までに複数社が届け出ているパラミロンとして初の届出になった。ミカレアが届け出たヘルスクレームは次のとおり。「本品は、独自のユーグレナグラシリスEOD-1株由来パラミロン(β-1,3-グルカンとして)を含むので、日常生活の身体的疲労感を軽減する機能があります」。「独自の」という文言を盛り込んだところに、EOD-1株に対する同社のプライドとこだわりがうかがえる。

 ヘルスクレームはこれにとどまらない。原材料販売が本格されるのとほぼ同じタイミングでミカレアは第2弾となる届出を行い、「日常生活における一時的な精神的・身体的疲労感を軽減する機能があることが報告されています」というヘルスクレームを届け出た。一時的な精神的疲労感の軽減を追加し、身体と心、それぞれの「疲労感」に及ぼす働きを訴求できるようにした。これにより、ユーグレナEOD-1株由来パラミロンの価値向上を図るとともに、第1弾届出とは異なり機能性関与成分の研究レビューを届け出ることで、BtoB事業(原材料販売)を効率的に推進できるようにしたかたちだ。

 現在も、神鋼環境ソリューションはユーグレナEOD-1株由来パラミロンの研究開発を続けている。これまでの研究で、ヒトの免疫系を活性化させる働きを持つことが示唆されていることもあり、今後、免疫領域の機能性表示食品対応素材として展開していける可能性もゼロではない。

 他にも、脂質代謝改善機能などもヒト試験で確認されており、幅広い機能性を有する可能性が示唆される。このため同社はパラミロンが持つ機能性の本質について、「生体のホメオスタシス(恒常性)を維持している可能性がある」と見る。ハードルはかなり高いとみられるが、最終的にはホメオスタシスに対する機能を表示できるよう、エビデンスを積み上げていく考えだ。

【石川 太郎】

(冒頭の画像:ユーグレナEOD-1株乾燥粉末、神鋼環境ソリューション2017年1月ニュースリリースより)

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