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ヒドロキシ酪酸と白首烏 非医へ
厚労省、食薬区分改正案示す 専ら医への変更も

 厚生労働省が食薬区分(食薬区部における成分本質(原材料)の取扱いの例示)の一部改正案に関する意見募集(パブリックコメント)を新たに開始した。

 今回、食薬区分を所管する監視指導・麻薬対策課が示している主な改正点は、非医(医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質)リストの化学物質等の項目に「D‐β‐ヒドロキシ酪酸」、同じく非医リストの植物由来物等の項目に「コイケマ」(白首烏、Cynanchum wilfordii)の塊根をそれぞれ新規収載することが一つ。

 いずれも海外においてサプリメントや健康食品の原材料として利用されている。コイケマは、「ペクスオ」とも呼ばれる植物で、韓国で以前、ペクスオを使った健康食品がブームなどを巻き起こした経緯がある。

ウンナンコウトウスギの心材、専ら医へ

 また、現在、非医リストに収載されている「ウンナンコウトウスギ」の「心材」について、専ら医(専ら医薬品として使用される成分本質)リストに区分変更する案も同時に示したのがポイントだ。

 ウンナンコウトウスギの心材は、「ハクトウスギ」の他名として、現行の非医リストに収載されている。日本国内で健康食品の原材料として流通実態があり、専ら医への区分変更が決まると、製造販売会社らに影響が生じることになる。そのため監視指導・麻薬対策課では、パブリックコメントを取りまとめた後に発出する食薬区分改正通知の発出日から1年間、経過措置期間を設ける考えを示している。

 他に、勃起不全改善薬のシルデナフィルに類似の化学構造を持つヒドロキシカルボデナフィルを専ら医リストに新規収載するという。

 改正案は、監視指導・麻薬対策課が今月23日までに取りまとめ、公表した。パブリックコメントは4月21日まで募集する。

食薬区分WGが2月に審議

 今回の食薬区分一部改正案は、監視指導・麻薬対策課が組織した「医薬品の成分本質に関するワーキンググループ」(食薬区分WG)を構成する有識者が今年2月に行った審議結果を反映したものだ。

 23日までに公開された議事概要によれば、非医リストに収載する案が示されたコイケマ(白首烏)、D‐β‐ヒドロキシ酪酸についてWGは、それぞれ国内外で医薬品としての使用実態がないこと、その上で食経験があることなどを理由に、非医とするのが妥当と判断。海外でサプリメントとして販売されているが特段の健康被害情報は報告されていない、ことも理由に挙げている。

ヒドロキシ酪酸、ケトン体の一種

 D‐β‐ヒドロキシ酪酸は、ケトン体の一種として知られる物質で、牛乳やレバーなどにも含まれるとされる。米国など海外では、以前からサプリメントの原材料として利用してきた。日本にも製造している先があり、大阪ガス㈱(大阪市中央区)が天然物から発酵法で同成分の量産化に成功し、化粧品用の他、サプリメントや機能性食品向けの原材料を開発。「OKETOA」の製品名で原材料販売を展開していきたい考えを以前から示している。

 一方、ウンナンコウトウスギの心材を非医から専ら医に区分変更する必要が生じたのはなぜか。現行の非医リストでウンナンコウトウスギは、ハクトウスギの他名として収載、対象部位は心材だ。同時に、その樹皮および葉に関しては専ら医リストに収載されており、部位によって区分を変える形で整理されている。

ハクトウスギ、ウンナンコウトウスギと「別」

 しかし、WGは今回の審議で、ハクトウスギとウンナンコウトウスギは「属の異なる別の植物」だとし、それぞれ「別品目」として収載するべきだと指摘。その上で、ウンナンコウトウスギの同属(シノニム)とされている「コウトウスギ」の食薬区分について審議し、国内外で食経験がないこと、含有成分であるパクリタキソル(paclitaxel)は医薬品として使用されていること、かつ、「極めて強い毒性を有する」などとして、コウトウスギの樹皮、葉、そして心材を専ら医にすることが妥当だと判断した。

 そうした審議の流れを受けてウンナンコウトウスギは、今回の改正案で、コウトウスギの他名として専ら医リストに収載されることになった。対象部位は、もともと専ら医である樹皮、葉に加え、現行リストでは非医とされている心材の3部位となる。一方、ウンナンコウトウスギとは別の植物とされたハクトウスギの心材は、非医リストに留め置かれる。

【石川太郎】

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