医療費適正化などのためにセルフメディケーション推進の必要性が叫ばれる中、サプリメント・健康食品を通じた地域の健康支援に取り組むため、チェーン調剤薬局大手の「クオール薬局」を運営するクオール㈱（東京都港区、柄澤忍社長）と、サプリメントなどの通信販売事業を展開するサントリーウエルネス㈱（同、沖中直人社長）が13日から協業を開始し、発表した。

　『セサミンEX』などサントリーウエルネスの主力健康食品を、クオール薬局の店頭で販売する。販売に当たっては、店頭の薬剤師が、成分の安全性や薬との飲み合わせなどを来店者に説明したり、健康食品に関する疑問に答えたりといったコミュニケーションに取り組み、サプリメント・健康食品に関する適切な理解の促進にも努める。

　サントリーウエルネスはこれまで、主に通販で商品を販売してきた。サプリメントの主力商品が店頭で販売されるのは、今回が初になるという。同社では、クオールとの協業開始を発表するのに合わせ、「お客様との接点を広げることでお客様1人ひとりにいっそう寄り添い、安心・納得して商品を購入いただける機会を創出していきます」とするコメントを出した。健康食品の有力通販企業が踏み切る、事実上の販売チャネル拡大に注目が集まる。

　発表によると、クオール薬局店頭で販売するサプリメントは、『セサミンEX』をはじめ『ロコモア』、『DHA＆EPA+セサミンEX』、『快適セサミン』、『グルコサミン アクティブ』、『オメガエイド』のサントリーウエルネスの主力6ブランド。通販では通常約30日分から販売しているところ、7日間お試しサイズ（税別販売価格980円～1,400円）を新たに用意した。13日から31店舗で販売を開始。23年中にも550店舗まで広げる計画だ。そして将来的には、クオールグループ全体の約870店舗で展開していく予定という。

　クオールは今回の協業について「クオール薬局の一部の店舗では、地域の健康に貢献する先進的な取り組みを展開する一方、処方せん医薬品の提供がメインとなっている店舗も多くありました。今回の協業により、サントリーウエルネスの商品をフックに両社が持つさまざまな知見と、新たなネットワークを活用し、未病領域への貢献を広げたい」とコメントし、疾病の治療から健康維持・増進まで事業領域を広げていきたい考えをにじませた。今後、クオール薬局の薬剤師が、健康食品に関する適切な理解を深めていくための定期的な勉強会も開催していくという。

【石川太郎】