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コラーゲンペプチドに睡眠の質改善機能 海外誌に論文、グリシン高含有が作用機序か

 1日あたり15グラムのコラーゲンペプチドを7日間継続摂取すると、睡眠の質が改善される可能性のあることが、海外で行われたヒト試験で分かった。日常的に運動に行っていて、睡眠の質が悪いことを自覚している男性13人を対象にした無作為クロスオーバー試験で確認された。作用メカニズムとしては、コラーゲンペプチドに多く含まれるアミノ酸の一種、グリシンによる働きが考えられるという。

1日あたり15グラムを7日間

 この研究は、オランダを本拠地とするルスロ社(Rousselot)が製造する牛皮由来コラーゲンペプチドを使って英ラフバラ―大学らの研究チームが実施したもので、試験(摂取)期間は7日間。論文は、栄養科学分野の学術誌『European Journal of Nutrition』に掲載された。同社の日本法人は取材に、「コラーゲンペプチドを使った臨床研究は世界的に数多く行われているが、睡眠への有効性を検証した研究は珍しい」と話す。

 論文によると、就寝前の1時間前に15グラムのコラーゲンペプチドを摂取した被験者は、プラセボ(偽薬)を摂取した被験者と比べて、夜中に目が覚めてしまう中途覚醒が有意に減少した。計測には、睡眠中の生体状態を観察できる睡眠ポリグラフィを使用した。

 また、摂取7日目の翌朝に、認知機能を調べるために使われるストループテストを行った結果、コラーゲンペプチド摂取群はプラセボ群との比較で有意な正確さを示し、認知機能の改善も示唆されたという。ただ、睡眠の長さ、入眠時間、睡眠効率にはついては群間差が認められなかった。

グリシン換算で3グラム前後

 コラーゲンはタンパク質の一種。サプリメントなどの原材料として利用されるコラーゲンペプチドを構成するアミノ酸として最も多いのは一般的にプロリンおよびヒドロキシプロリン。次いで多いのはグリシンで、全体の約2割前後を占めるとされる。

 今回の試験で被験者が摂取したコラーゲンペプチドの量は1日あたり15グラムのため、3グラム前後のグリシンを摂取したことになる。論文では、コラーゲンペプチドの摂取によって中途覚醒が減少したメカニズムについて、高含有するグリシンの影響もあると考察。過去の研究では、就寝前の3グラムのグリシン摂取によって、睡眠向上効果が示されているという。

 実際、睡眠ケア領域の機能性表示食品の機能性関与成分としてもグリシンの届出があり、最終商品の臨床試験に基づく有効摂取量は1日あたり3グラムとされている。

【石川太郎】

関連資料:論文「Collagen peptide supplementation before bedtime reduces sleep fragmentation and improves cognitive function in physically active males with sleep complaints」(PUBMEDへ)

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