KC’sが大阪地裁に提訴、脱毛エステサロン相手に共通義務確認訴訟 ジョンソン・エンド・ジョンソンには申入れ
特定適格消費者団体の(特非)消費者支援機構関西(KC’s/ケーシーズ)は29日、脱毛エステサロンを全国展開していた㈱ラドルチェ(大阪市北区、徳富正樹社長)を相手取り、「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」(以下、消費者裁判手続特例法)に基づき、共通義務確認訴訟を大阪地方裁判所に提起した。同団体としては㈱スターリーナイトカンパニーに続いて2件目、全国で7件目の共通義務確認訴訟となる。
また、ケーシーズは同日、ジョンソン・エンド・ジョンソン㈱(東京都千代田区、玉井孝直社長)が販売している薬用歯磨き「リステリン」ブランドの広告表示に対し、景品表示法上優良誤認の恐れがあるとして8月28日付で「申入れ」を行ったと発表した。
ラドルチェ社を提訴
ラドルチェ社(以下、ラ社)は「Ladolce」の屋号で脱毛施術サービスを全国展開する特定継続的役務提供会社。回数・期間無期限のアフターサービスを売りにしていたが、消費者とのトラブルを抱えながら今年4月30日に全ての店舗を閉鎖して事業を終了した。ケーシーズは「お問合せ」文書を22年6月27日付で送付してから同社との交渉を重ねたが、これまでに誠意ある回答は得られなかったという。
ラ社は、アフターサービスとして回数・期間無制限で施術を受けられるエステティックサービス契約を行っていたが、22年1月頃、消費者らの同意を得ることなく、「アフターサービス施術(無償サービス)を セルフサービス施術へと移行させて頂く事としました」との告知をし、契約内容を一方的に変更した。
同社の申告によれば、無償サービスの対象となる契約件数はこれまでに7,112件あり、消費者裁判手続特例法施行後は3,283件だった。各地の消費生活センターには、同社が店舗を閉鎖してからも複数の苦情・相談が寄せられているとされ、ケーシーズの推計によれば被害者数は798人に上る。
ケーシーズは、ラ社が消費者の同意を得ることなく契約内容を一方的に変更したことについて、「役務」とされる同契約が途中で変更される可能性があるとすれば、あらかじめ消費者に明示されなければならない、契約を締結するか否かの判断に関わる重要な内容を記載しなかったことは「重要事項の記載欠如」に当たるとし、記載不備を是正する書面の交付も行われなかったことから、消費者は契約を解除(クーリング・オフ)できるとし、特定商取引法48条7項に基づきラ社が不当に取得した契約代金相当額を返還するよう求めている。
ジョンソン・エンド・ジョンソンに申入れ
ケーシーズは、ジョンソン・エンド・ジョンソン社が販売する「リステリン」ブランド本体上部に貼付されている商品ラベル、リステリン本体の上部に貼付されている商品ラベルに印刷されている表示に言及し、「殺菌力」、「マウスウォッシュ売上」、「No1.」という文言の中で、「マウスウォッシュ売上」の表示が小さいために、「殺菌力がNo.1」と消費者が誤認する恐れがあるとし、「殺菌力」と「N01.」という表示を同時に行うことの停止を求めている。9月27日までの回答を求めている。
ケーシーズは同社に対し、今年2月1日付で「お問合せ」を送付したが回答期限を越えても返信がなく、3月14日付で改めて再送付。返送された回答書を検討したところ優良誤認表示の疑いがあるとして、今回の申入れに至ったとしている。
【田代 宏】
(文中の写真:「リステリン」消費者支援機構関西の発表資料より転載)
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