オルティック、原材料販売を新たに 【九州のヘルスケア産業】プラントベースを切り口に、まずは2素材展開
健康食品企画・開発・OEMのオルティック㈱(印藤晴子社長)。創業は2006年。グループ会社に1992年創業の老舗健康食品通販会社があり、販売促進に関するノウハウを顧客に提供したり、一般消費者の声を反映した製品の開発を提案したり出来ることを強みにする。そういった九州を拠点とする健康食品の川上企業が打つ次の一手とは。
イコセン酸含むカメリナオイルを供給
新たに、原材料販売を手がけることにした。
国内企業の協力を受けて、プラントベース食品素材の取り扱いを始め、OEMから原材料販売まで展開する新たな取り組みを進めていくという。同社の印藤社長は、「新しいチャレンジと時代の空気を読むこと。私たちにはそれが求められている」と語る。
販売する原材料は、カメリナオイル(原産国:カナダ・ケベック州)と植物由来プロテイン(同:ノルウェー)の2素材3製品。
カメリナオイルは、アブラナ科植物のカメリナサティバ(アマナズナ)の種子から得られるオイルで、オメガ脂肪酸を多く含む。そういった植物オイルとしては、アマニ油やエゴマ油が知られるが、カメリナオイルの場合、「オメガ3(α-リノレン酸)だけではなく、オメガ6やオメガ9も含まれる」(同)という。
カメリナオイルに含まれるオメガ9は、オレイン酸やイコセン酸だ。イコセン酸は、魚油に多く含まれる脂肪酸とされ、「植物に豊富に含まれているのは珍しい」(同)。
また、カメリナオイルの特長について同社では、オメガ3・オメガ6(リノレン酸)・オメガ9が2:1:2の割合で含まれること、ビタミンEやβ-カロテンをはじめポリフェノール類や植物ステロール類を多く含有すること、アマニ油やエゴマ油などと違い、加熱調理が可能で、料理に使えること──を挙げる。
グループの通販会社でカメリナオイルを配合したソフトカプセル状のサプリメントを開発し、現在、販売している。また、オルティックとしても、OEMに一部対応してきた経緯がある。それを今後は原材料販売にまで提案手段を広げ、サプリメント形状の食品を中心に、積極的な配合提案を進めていきたい考えだ。
OEMと原材料販売を事業の両輪に
一方、同じく原材料販売を手がけていく植物由来プロテインは、有機エンドウ豆(Pea)およびそら豆(Faba)を原料にしたもの。カメリナオイルと同じ国内企業のバックアップを受け、OEMから原材料販売まで手がける。プロテインは、ホエイをはじめとする乳由来製品が主流だが、サステナビリティや環境への配慮などといった付加価値をつけられる「プラントベース」を求める層に提案する。
今後は、OEMと原材料販売の2つを事業の柱にしていきたい考え。原材料販売では、同2素材の他にも、取り扱い製品を増やしていくことも検討する。「今後は、プラントベースの素材も主流になっていくと思う」(同)といい、引き続き、将来性がある植物由来の健康食品素材を国内外から見出していきたい考えだ。
なお、足元のOEM事業の概況は、堅調。NMNを配合したサプリメントを中心に受注を伸ばしており、市場での差別化策として、「コプリーノ」を製品名とするエルゴチオネイン含有キノコ(ササクレヒトヨタケ)抽出物の組み合わせを提案している。
【石川太郎】
(冒頭の画像:グループの通販会社で販売するカメリナオイル配合サプリメントのパッケージ。オルティック提供)
<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡県福岡市中央区天神2-8-41 福岡朝日会館11階
TEL:092-737-2128
URL:https://www.ortic.co.jp/
事業内容:OEMでの健康食品企画・販売
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