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エビデンス入門(61) メタアナリシスとは(2)

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科 准教授 竹田 竜嗣

 前項では、異質性の評価について解説した。異質性の評価には、I2値やコクランのQ検定について触れたが、フォレストプロットを描いて目視で判定するする方法もある。

 フォレストプロットによる評価は、評価する個人によって結果が異なることもあるので、コクランのQ検定値なども併記し判断することが望ましい。また、統合する評価モデルの選定には、異質性を考慮しつつ固定効果モデルかランダム効果モデルかを選定することが一般的であると述べた。また、ランダム効果モデルは、固定効果モデルよりも有意差が出にくいという特徴がある。この理由は、両者にはモデルの過程で以下のような違いが存在するためである。

 ランダム効果モデルでは、扱った研究以外も含めた母集団を想定し、統合した研究(メタアナリシスを実施した研究データ)は、母集団からランダムに抜き出したサンプルを想定したモデルだ。そのため、他の集団にも当てはめることを前提としている。
 一方、固定効果モデルでは、「既存の示された研究結果について本当に効果があると言えるのか」を統計評価している手法であると言われる。そのため、他の集団に当てはめることを前提としていない。このような違いが存在するため、統合する効果モデルを選んだ理由と根拠については示す必要があるので注意したい。

 定量的な統合を実施した後、結果についての妥当性について判断するため、さらに出版バイアスを評価する。出版バイアスとは、有意差のない研究は公表(出版)されにくいという論文の公表に関わるバイアスだ。出版バイアスについては、検索語を決定する段階でも、限定的なキーワードにならないよう網羅的になるようにすることで、統合すべき論文が検出されないといった事態を減らすことで配慮ができる。
 しかし、メタアナリシスの実施後に評価することが必要だ。出版バイアスの評価は、一般的に用いられる手法としてファンネルプロットを描写し、ファンネルプロット上の点の分布が左右対称になっているか目視で確認する手法がある。左右対称でなければ、出版バイアスの存在が疑われる。

 一般に、ファンネルプロットでの評価は、10以上の論文を統合する際に推奨されている。また、評価者による評価の個人差が考えられるため、ファンネルプロットの点の分布について回帰分析によって出版バイアスを評価するEggerの回帰検定や、順位相関で出版バイアスを評価するBeggの検定なども同時に実施し、出版バイアスを判定する。出版バイアスの存在が示唆される場合は、メタアナリシスの結果が求めたい真の結果と異なる可能性があるため慎重な解釈が求められる。 

(つづく)

<プロフィール>
2000年、近畿大学農学部農芸化学科卒。
2005年、近畿大学大学院農学研究科応用生命化学専攻、博士後期課程満期退学。
2005年、博士(農学)取得。近畿大学農学部研究員、化粧品評価会社勤務、食品CRO勤務を経て、2016年から関西福祉科学大学健康福祉学部福祉栄養学科。
専門は、農芸化学分野を中心に分析化学、食品科学、生物統計学と物質の研究から、細胞、動物試験、ヒト臨床試験まで多岐に渡る研究歴がある。特に食品・医薬品の臨床研究は、大学院在籍時より携わった。機能性表示食品制度発足時から、研究レビューの作成およびヒト臨床試験など多くの食品の機能性研究・開発に関わる。
 2023年1月 WNGが発信する会員向けメルマガ『ウェルネス・ウィークリー・レポート』やニュースサイト『ウェルネスデイリーニュース』で連載した「エビデンスの基礎知識」が100号に達したのを記念し、内容を改めて編集し直し、「開発担当者のための『機能性表示食品』届出ガイド」を執筆・刊行。

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