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エビデンス入門(60) メタアナリシスとは(1)

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科 准教授 竹田 竜嗣

 機能性表示食品の届出では、システマティック・レビュー(SR)形式の研究レビューによって科学的根拠とすることができる。SRの方法には、各論文の質などを中心にエビデンスを評価する定性的な評価と、アウトカム指標を統計学的に統合しエビデンスを評価する定量的な評価の2種類が存在する。SRの構成論文が比較的多い場合は、一般的に定量的に統合することが多い。また、機能性表示食品の届出を目的としないSRの論文では、定量的統合を含めて結論を出していることが多い。

 定量的な統合の手法としては、メタアナリシスがある。メタアナリシスは、研究のエビデンスレベルでは最も高い位置づけにされている。しかしながら、手法は統計的な知識が必要であり、厳格な基準に基づいて実施されなければ誤った評価をしてしまう可能性がある。そのため、近年の学術雑誌では、メタアナリシスを実施するにあたってはSRの一環として実施を求めることが多く、PRISMA声明に沿った報告が求められることが多い。メタアナリシスを実施するにあたっては、文献検索により統合する文献を抽出する作業が必要になる。

 機能性表示食品制度のガイドラインでも触れられているが、故意的に特定の文献を外す作業や特定の文献のみを対象とすることは望ましくなく、くまなく目的と合致し関係する文献が抽出されるよう、PICOの設定や検索キーワード、検索データベースを定める。
 採用文献の決定がなされた後は、統合に必要なアウトカムデータを論文から抽出し、統計手法により統合する。統合する際の統計手法は、一般的にランダム効果モデル(変量効果モデル)と固定効果モデルが存在する。統合する文献間の異質性が高いと考えられる場合は、ランダム効果モデルを採用し、統合する文献間の異質性がないと考えられる場合は、固定効果モデルを選択するのが一般的だ。

 「異質性」とは、異なる論文間の研究結果の違いやバラつきの違いを指す。臨床試験を統合する際には、論文ごとにサンプルサイズ(臨床試験の実施人数)や対象者集団の特性が異なる。また、介入方法や評価に用いたアウトカムの方法も異なる場合もあると考えられ、統合する研究間で違いが大きいと異質性が高くなる。そのため、研究結果を統合する際には、単純に各研究結果を合算するのではなく、各研究に重みづけを行った統合を実施して信頼区間という幅を用いて評価する必要がある。異質性の指標としてはI2値(%)やコクランのQ検定などの指標があり、客観的に評価することができる。

(つづく)   

<プロフィール>
2000年、近畿大学農学部農芸化学科卒。
2005年、近畿大学大学院農学研究科応用生命化学専攻、博士後期課程満期退学。
2005年、博士(農学)取得。近畿大学農学部研究員、化粧品評価会社勤務、食品CRO勤務を経て、2016年から関西福祉科学大学健康福祉学部福祉栄養学科。
専門は、農芸化学分野を中心に分析化学、食品科学、生物統計学と物質の研究から、細胞、動物試験、ヒト臨床試験まで多岐に渡る研究歴がある。特に食品・医薬品の臨床研究は、大学院在籍時より携わった。機能性表示食品制度発足時から、研究レビューの作成およびヒト臨床試験など多くの食品の機能性研究・開発に関わる。
 2023年1月 WNGが発信する会員向けメルマガ『ウェルネス・ウィークリー・レポート』やニュースサイト『ウェルネスデイリーニュース』で連載した「エビデンスの基礎知識」が100号に達したのを記念し、内容を改めて編集し直し、「開発担当者のための『機能性表示食品』届出ガイド」を執筆・刊行。

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