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エビデンス入門(32)
機能性表示食品のガイドライン改正(中)

関西福祉科学大学 健康福祉学部 福祉栄養学科講師 竹田 竜嗣 氏

 機能性表示食品のガイドラインと質疑応答集(Q&A)は、定期的に変更されている。昨年3月22日にも改正が行われた。
 ガイドラインの変更は大きなものはないが、Q&Aで分析部分が変更されている。今回も前回に続き、解説する。

 昨年、Q&Aで追加された問32は、届出全般事項に関するものだけでなく、関与成分の種類ごとに、細かな内容について踏み込んでいる。気になった点についていくつか取り上げて解説する。

 まず、大前提として、原料の分析ではなく最終製品における分析方法を届出資料で示すことが述べられている。また、最終製品の分析における前処理過程については、詳細に記載することを求めており、さらに分析方法の妥当性については、添加回収試験、繰り返し試験などを実施して確認することが記載された。最終製品の分析に当たっては、食品に含まれる他の成分などの影響を受ける可能性があり、各食品によって前処理を実施することがほとんどである。

 例えば、錠剤やカプセルあるいは粉末などの固体製品の場合、有機溶媒や熱水などによって、機能性関与成分を抽出することがほとんどである。
 その抽出課程では、分析ロスが発生することが懸念されるため、既知量の関与成分を予め最終製品に添加し、分析することで回収率を計算し前処理が妥当であることを確かめることや、繰り返し同じサンプルを分析して分析誤差を確認し、サンプルの前処理を実施することが明記されている。

 また、分析方法の妥当性について、査読付き論文で公表されている方法や公定法を用いる場合は、届出資料に出典を記載するなど、消費者庁あるいは事後チェックなどの際などに評価しやすいように求めている。これらの記載は、これまでも届出書類チェックの際に指摘を行っていた事項だと考えられ、新たに定めたというよりも、あらかじめ記載内容を明らかにすることで届出資料確認の短縮を図る狙いもあると考えられる。

 また、機能性関与成分ごとにおける留意事項もQ&Aで記載されており、腸内細菌などの場合は、株レベルでの定量結果を求めることが改めて記載されている。これも、定性分析では、遺伝子などから、株レベルでの定性は可能であるが、定量分析では、培養法などを用いている場合は、培地選択による種レベルでの選別は可能であるが、株レベルでの定量とまでは言えないため、改めて追記されたと考えられる。

 定量PCRなどによる株レベルでの定量や、コロニーの特徴観察による選別、品質管理における他の株の菌種の混入の否定など、具体的な対応方法についてまで書かれており、親切な内容となっている。乳酸菌などの場合、製品中には1品種を用いると考えられ、品質管理や製造過程における混入が無ければ、製造に関する事項の説明で良いとのことである。次回も本内容について説明を続ける。
                                             (つづく)

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