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えがお、原田CEO就任から1年 【九州のヘルスケア産業】動き出した再成長戦略、広げられるか顧客の世代

 健康食品を主力商品とする熊本の通販企業、㈱えがお(北野忠男会長兼社長)。アップルコンピュータ㈱や日本マクドナルドホールディングス㈱などの経営トップを歴任してきた原田永幸(えいこう)氏が最高経営責任者(CEO)に就任してから1年余が経過した。CEO就任以来、再成長に向けた施策を矢継ぎ早に繰り出す原田氏は、34年の歴史があり、延べ500万の会員を抱える有力通販企業を変えていくことになるのか。

シニア世代からキッズ&ファミリーまで

 えがおは1989年に「ロフティ」として創業。2008年に現社名に商号変更した。創業33年目にあたる2022年12月期の売上高は前期比微増の約150億円、会員数はアクティブ90万。15年の260億円をピークに減収に転じていたが、20年までに底を打ち、微増ながらも増収に転じている。そうした中で昨年5月、CEOとして原田氏を迎えた。

 販売する商品は健康食品・サプリメント、美容関連、一般食品の大きく3カテゴリー。品目数としてはおよそ85を数える。一方で、売上高全体の7割を占めるのが、主力の健康食品『えがおの黒酢』シリーズと、深海鮫生肝油を配合した『えがおの肝油鮫珠』。顧客も70代以上のシニア世代が大半だ。

 原田CEOが描く、えがおの再成長戦略は、2大主力製品についてシニア世代との接点をさらに広げて収益の最大化を図りつつ、これまで訴求の弱かった美容関連と一般食品の2事業を育成。これにより、顧客構成を現在のシニア世代中心から「キッズ&ファミリー」にまで広げる。

 そのためマーケティング手法も見直し、これまでの29分インフォマーシャル中心から、デジタルにも積極投資。さらに、他社とのアライアンスやパートナーシップを推進したり、優れた人材を集めて組織力を強化したりもする──そのようにして早期に売上高200億円まで回復させる構想を原田CEOは描く。

健康食品事業とのシナジー創出を狙う

 美容関連の育成に関しては昨年末までに着手した。機能性表示食品のサプリメント『フトラント』(機能性関与成分:エラグ酸)を昨年10月に発売。抗肥満領域は競合商品の多い市場だが、一定の宣伝投資を行いながら若い世代の取り込みを図る。

 また、今年5月には、食品事業を立ち上げ、『OICTO(おいしいと)』の展開をスタート。黒酢を使った発酵食品・飲料のほか、地元の熊本産「でこぽん」などの柑橘を使ったジュースなどのインターネット通販を開始した。食品事業の立ち上げに当たっては、CJ FOODS JAPAN㈱との間でアライアンス契約を締結。発酵酢ドリンク『美酢(みちょ)』や冷凍食品『bibigo』といったCJ社の代表的食品ブランドもラインアップに取り入れている。

 『OICTO』の立ち上げ発表会に登壇した原田CEOは、成長戦略を実効的なものとするためには、健康食品事業と食品事業のシナジーが欠かせない、とコメント。両事業を車輪の両輪的に展開していくことで、「顧客基盤が高齢者中心からキッズ&ファミリー層まで広がり、その広がりがより若い世代の健康食品の利用拡大につながっていく」との将来展望を示した。

 「顧客基盤とアライアンス。そして独自の商品開発力」。それらが成功のカギになると原田CEOは語る。就任からまだ1年余。再成長に向けて次は何を繰り出すのか。

【石川太郎】

『ウェルネスマンスリーレポート』2023年7月10日号(第61号)より転載

(冒頭の写真:食品事業立ち上げ発表に登壇し食品事業の戦略を説明する原田CEO。2023年5月12日都内)

<COMPANY INFORMATION>
所在地:熊本県熊本市東区東町 4-10-1
TEL:096-241-7777
URL: https://www.241241.jp/company/
事業内容:総合健康関連事業

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