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「非医」から「専ら医」へ
センソウトウなど5原材料巡りパブコメ 厚労省

 厚生労働省が食薬区分リスト(食薬区分における成分本質=原材料=の取扱いの例示)の一部改正案をめぐる意見募集(パブリックコメント)を13日から行っている。

 今回提示された改正案は、通常とは異なり、専ら非医薬品(非医)から専ら医薬品(専ら医)への区分変更。従来、「非医」として取扱われてきた、「センソウトウの全草」、「イボツヅラフジの全木(もともと全草)」、「シンキンソウの全草」、「ノゲイトウの全草」、「ヒメツルニチニチソウの全草」─の5原材料を「専ら医」に区分替えする案が示された。

 これら5原材料の中には、現在、国内でサプリメントや健康食品などの原材料として利用されているものもあり、「専ら医」に区分変更されると、事業者や業界に少なからず影響が生じることになる。

 そのためか、厚生労働省では、パブリックコメントを取りまとめた上での食薬区分改正通知の発出から1年間に限り、経過措置期間を置く考えも併せて示した。以下のように説明している。

 「その成分本質(原材料)の分類のみをもって、直ちに医薬品に該当するとの判断は行わない」。

 とはいえ、それも通知発出から1年間に限られた話。経過措置期間の終了後は、藥機法で規制されることになる。

 意見は、年明け1月11日(火)まで受け付けるという。

区分変更、16原材料におよぶ

 厚生労働省と、食薬区分を審議する有識者のワーキンググループ(WG)は、2019年から断続的に、従来「非医」として取扱ってきた複数の原材料について、「専ら医」への区分変更を審議してきた。

 その結果これまでに「非医」から「専ら医」に区分変更されたのは、「カイコウズの全草」、「カンレンボクの全草」、「クジチョウの全草」、「ハナビシソウの全草」、「ヒヨドリジョウゴの全草」、「ヒルガオの根」、「ビンロウジの種子」、「ルリヒエンソウの全草」、「エンベリアの果実」、「ケイコツソウの全草」、「コオウレンの茎・根茎」─の11原材料。いずれも改正通知はすでに発出されている。

 今回の改正案で、「専ら医」に区分変更する案が示された5原材料を加えると、実に16原材料にのぼることになる。

背景に指定成分等含有食品制度

 食薬区分は通常、事業者などからの照会を受け、WGで審議する。ただ、一連の「非医」から「専ら医」への区分変更は、厚生労働省として主体的に審議の必要性を判断。その背景には、ある新制度があった。

 20年6月に施行された、改正食品衛生法に基づく指定成分等含有食品制度である。

 「食品に含まれる指定成分の検討会」。指定成分等の候補を選定するにあたり、厚生労働省は専門家で構成する検討会(およびワーキンググループ)を立ち上げ、2017~18年度にかけ、第1弾となる指定成分等の候補リストづくりなどを進めた。

 指定成分等の候補選定作業の対象となったのは、主に、食薬区分の非医リストに収載された原材料。その中に、指定成分等としてではなく、すなわち改正食品衛生法ではなく、「薬機法による規制(医薬品としての扱い)が妥当」と専門家らが判断したものがあった。

 それが、今回の食薬区分改正案で「非医」から「専ら医」に区分変更する考えが示された5原材料を含む、少なくとも前述の16原材料だった。

 指定成分等含有食品制度の設計途上において、非医リストの「再点検」が実施されていたわけだ。非医リストの見直しが長らく行われていなかった事情も加味されたとみられる。

 同16原材料について厚生労働省では、WGでの審議に入る前の段階で、「専ら医」への区分変更を検討する考えを業界団体に伝えていた。流通実態に関する情報提供を要請した他、安全性に関するデータなどの提供も求めていたようだ。

 安全性に関して業界や事業者がどのような情報を提供したのかは分からない。しかしいずれにせよ、同省とWGの判断は、事実上のゼロ回答。16原材料の全てが「専ら医」へ区分変更される結末を迎えることになりそうだ。

事業者と消費者に影響大きく

 「非医」として取扱われてきものが唐突に「専ら医」とされる。安全性に関する重大な新知見が生じれば、そうしたことも避けられないであろうことは理解できる。

 しかし一方で、それが事業者に及ぼす影響も無視できない。ある原材料事業者は「突然いわれても困る。(ビジネス上の)リスクが大きすぎて仕事にならない」と話す。

 また、消費者視点に立ってみても、それまで食品として摂取できていたものが唐突に医薬品として規制されることをどう捉えるか。

 16原材料を「専ら医」に変更する理由について厚生労働省では、WGの議事概要(議事録とは異なる)を公開することを通じて説明している。ただ、WGの見解を伝えるだけに終始しているこの説明だけで果たして十分かどうか。納得できない事業者もいるに違いない。

 加えて、区分変更の考えを業界に伝えてからすでに2年半以上が経過した事実も看過できない。新型コロナ禍でWGの開催が滞ったにせよ、食薬区分の取り扱いが実質的に「宙ぶらりん」とされたことで、顧客対応に苦慮する事業者が現れた。もっと早く結論を示すことができなかったか。

 同様の区分変更は今後も起こり得る。

 その可能性があることは厚生労働省も否定していない。

【石川太郎】

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