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「機能性表示食品」個別評価の変遷
科学的根拠の届出は企業の責任

アスコン科学者委員会副委員長 鈴木 勝士 氏

評価結果の公表、2017年10月スタート
 機能性表示食品制度は届出制度であり許諾制度ではないので、個別商品についての継続的な外部評価が必要であるとの観点から、アスコンは「科学者委員会」を設置し、2017年10月から評価結果の公表を開始した。評価は「委員会による外部評価」から、「企業の自己評価の準備段階」を経て、次の「企業の自己評価と社会の評価に」進む予定である。今回は、これらの評価が、商品の信頼性につながる客観的な資料として役立つことを望みつつ、我々の評価の過去・現在・未来を略述する。

 委員会は届出の外部評価(第1段階)を行い、安全性に関する科学的根拠の評価については、資料の記載にとどめることにした。というのは、機能性表示食品は 基本的には食品であり、その安全は「喫食経験」で保証されるという経験則に基づいており、実際に安全性試験を実施した例は少ないからである。
機能性については、「製品の効果の強さ」ではなく「届出の科学的な根拠の強さ」、すなわち、根拠論文が質的に科学論文として十分なものか、その論文が製品の効果を証明するものかを評価することにした。評価基準は消費者庁が示したガイドラインと事後チェック指針を基本とし、そこに明文化されていない点について委員会は独自の基準を設けた。評価結果はA、B、Cの3段階と、様々な理由で評価に至らなかったものに分類した。評価に際し、企業と科学的な意見交換を行い、相互理解に努めた。

浮上した問題点
 経過の中で、届出資料の質と、問題点を指摘した際の企業の対応に大きな差があるという問題が生じた。
この問題の解消には、企業が自身の届出を自己点検し、自己評価をすることによって企業の自覚を高める必要があるとの結論に至った。このことは「事業者による自主点検」を求める消費者庁の事後チェッ ク指針の考え方とも一致する。2番目の問題は、委員会の評価が届出の急速な増加に追いつかないことであった。

 2015年以来の届出総数は4700件を超えているが、委員会の評価はその3分の1以下に留まっている。評価の迅速化には人手と経費の大幅な増加が必要だが、ボランティア組織ではそれは簡単ではない。原著論文の内容確認が必要な場合などなおさらである。これらの問題を解決するために、評価資料の作成に企業の協力を求めることにした。

 最初に、評価のための2次資料(届出情報照会確認シート)への記入を業者自身に依頼し、委員会でその内容を精査し評価する方式を試みた。次の段階では、自己評価の記入まで業者に依頼し、委員会はその過程が正しく行われているかを精査し、問題があれば企業に伝えて改善を求めることにした。奏功すれば、企業は自身の届出資料を自己点検・評価する経験を積み重ねて、次の製品の届出にその経験を生かすことができると考えた。実際に、委員会の評価作業の労力は軽減されたが、2次資料を改善し誤解の余地をなくすことが必要である。

「E」シリーズから自動集計へ
 現在、確認シートについて評価が自動集計できるように記入欄の様式変更と記入マニュアルとフローチャートが用意されている。Eシリーズの評価から使用を試みる予定である。これによって評価は最終段階に達し、「企業による自己評価」と「委員会による外部評価」という要素に「社会による評価」を加えることで、「企業の自己評価と社会の評価」を実現することになるだろう。

 フローチャートには、届出企業が自主的に評価できるように、判断の経路とその考え方が示してある。届出書類にはシステマテックレビュー(質的(研究レビュー)、定量的(メタアナリシス))が含まれている。科学者委員会では、いずれの場合も個別論文ではRCTを根拠とすべきとの立場を取っている。届出書類の中には対照群と介入群が同一の母集団に属することが確認されないものや、両群の比較のために実測値ではなく前後差や変換値を用いながら、実験前にこれを用いるとの宣言の手続きを行っていないなどの問題点が見られた。

 科学的に正当な根拠を届け出ることは、機能性を標榜する企業の責任であるとの自覚を強く促すものである。

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