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染小論文、届出論文や広告のスピンを指摘  WNG、食品CROと出稿社など11社を取材

 5月2日、機能性表示食品の研究論文の質に関する記事が「Wedge ONLINE(ウェッジ オンライン)」に掲載された。著者は東京大学名誉教授の唐木英明氏だ。
 同氏は、元・国保旭中央病院医長の染小英弘氏が筆頭著者としてJournal of Clinical Epidemiology(臨床疫学ジャーナル)169巻(2024年5月)に掲載された論文「受託研究機関主導の機能性食品試験における誤解を招く表示が日本で頻繁に観察:メタ疫学研究」を紹介し、機能性表示食品における届出論文において、粗製乱造が行われている可能性を示唆している。

 染小氏らの研究は、国内の食品CRO機関5社が作成した論文32報について調査したもの。論文および広告・プレスリリースにおいて結果を実際よりも良く見せようとする「スピン」の評価を行っている。

 唐木氏によれば、「そのうち72%が試験結果の中から都合がいいものだけを選び出して抄録に記載。81%が都合のいい結果だけを結論として述べていた。しかも、11の論文がその内容を広告やプレスレリースに使用しており、73%が都合がいい結果だけを示し、82%が不当景品表示法第5条に基づく誤解を招くような表示と判断された」と紹介している。

 おそらく、染小氏らが発表した論文は、単に論文の質の評価にとどまらず、広告利用される研究レビュー、さらにそのようなレビューに用いられる原著論文という2段階構造に着目した点で、世界初の論文ではないか。
 質や効果サイズが全く異なる成分があったとしても、同様のリリースや広告宣伝を可能とさせる欠陥は、従来から機能性表示食品が抱える課題として指摘されてきた。

 きのう21日、有識者による5回目の「機能性表示食品を巡る検討会」が消費者庁で開かれたが、その中でも、消費者の誤認を招きがちな「逸脱した表示」に対する指摘が、宗林さおり委員(岐阜医療科学大学薬学部教授)や合田幸広委員(国立医薬品食品衛生研究所名誉所長)などから行われた。パッケージや広告における「機能性表示」のあり方に関しては、そもそも今回の検討会の論点に含まれていないため、それらの誇大表示に対してどういう禁止事項をルールとして設けるかなどについては議論に及ばなかったが、中川丈久座長(神戸大学大学院教授)も「制度の根幹にかかわる問題」と重く受け止めた。

 ウェルネスデイリーニュース編集部(ウェルネスニュースグループ、WNG)では、先月から今月にかけ、染小論文の内容を4月4日、「機能性表示食品の臨床試験、有利な結果を強調」というタイトルで報じたサイエンスポータル編集部((国研)科学技術振興機構)、論文の対象となった食品CRO機関ならびに同機関が行った臨床試験を基に作成された届出論文に基づき「リリース」または「広告」した企業に対して取材を行っている。中には取材後、即座にリリースを削除した事業者もあった。

 また、論文の筆頭著者である染小氏に対しても取材を行い、「論文執筆のきっかけ」、「スピンの判定法」、「機能性表示食品に対する見解」などについて詳しく話を聞いた。近くウェルネスデイリーニュースサイトで紹介する予定だ。

 紅麹サプリ問題で機能性表示食品の安全性が問題視されてすでに2カ月が過ぎたが、この問題をめぐる報道も日に日にトーンダウンしている。巡る検討会で議論が進められている健康食品GMPの義務化、健康被害情報の報告の義務化が実施されれば、今回のような事故全てを防ぐことができるというわけではない。届出と表示の関係、それ以前の臨床試験の問題。機能性表示食品の仕組み、さらに健康食品全体のあり方について議論する場が、検討会後から始まることに期待したい。

【田代 宏】

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