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エクオール巡る訴訟 どう決着? 
製法特許係争 知財高裁、大塚製薬の主張認めるも行方不透明

「製造販売が禁じられることになる」?

 サプリメントの原材料として使われる機能性成分、エクオールの知的財産権を巡る訴訟に動きがあった。製法に関する特許権を侵害されたなどとして製造販売の差止めを求めていた原告の主張を、知的財産高等裁判所が一審判決を覆す形で認めた。これを受けて原告は、相手側は製造販売が禁じられることになると宣言。しかし相手側は「判決はまだ確定していない」として訴訟対応をさらに進める構えを見せている。

「エクオール含有食品に関し保有する特許権に係る訴訟判決(勝訴)について」。

 こう題したニュースリリースが10日に発表された。発表者は、大豆由来エクオール含有サプリメント『エクエル』の販売を手掛ける大塚製薬㈱(東京都千代田区、井上眞社長)。エクオール含有食品に関して同社で保有する製法にかかわる特許権(第6275313号)が侵害されたなどとして、エクオールを含有する機能性食品素材『フラボセルEQ-5』の製造販売を手掛ける㈱ダイセル(大阪市北区、小河義美社長)、同素材を配合したサプリメント『エクオール+ラクトビオン酸』を販売する㈱アドバンスト・メディカル・ケア(東京都港区、古川哲也社長)の2社を相手取り、特許権侵害差止請求訴訟を提起(2018年6月)していた。

 大塚製薬はそれぞれ製造販売の差止めを求めた。これに対して第一審の東京地裁は同社の請求を棄却(20年9月)。被告側の主張を認め、ダイセルのエクオールに関する製法は大塚製薬の特許権を侵害しないと判断した。しかし控訴審に当たる知財高裁は第一審判決を覆す。大塚製薬はニュースリリースで、「2月9日、知的財産高等裁判所は、当社の主張を認め、差止請求認容判決を言い渡した」と伝えた。

審決取消訴訟でも「勝訴」

 ダイセルらが上告し、上告が受理されれば、訴訟は継続されることになる。だが、大塚製薬はニュースリリースで、控訴審判決によって「ダイセル社は『フラボセル EQ-5』の製造販売行為が禁じられ、アドバンスト社は『エクオール+ラクトビオン酸』のうち『フラボセル EQ-5』を原料に用いたものの製造販売行為が禁じられることになる」などと断言した。

 いささか勇み足な主張に思える。ただ、強気なのにも理由があろう。同じ特許権(第6275313号)を巡る審決取消訴訟で同社有利の判決が出ていることが背景にあるとみられる。

 この審決取消訴訟は、前掲の訴訟とは逆に、ダイセルを原告、大塚製薬を被告とするかたちで、大塚製薬が保有するエクオールの製法に関する特許第6275313号の有効性が争われた。その中で知財高裁は昨年12月、原告の請求を棄却。大塚製薬は今年1月に発表したニュースリリースで、「本特許権の有効性を維持する判決が下された」として勝訴を宣言した。

ダイセル、「現行フラボセルは差止め対象ではない。粛々と訴訟対応進める」

 ダイセルはエクオールの原材料販売を手掛けている。大塚製薬の主張通り、『フラボセル EQ-5』の製造販売が制限されると、同素材を配合した最終商品を販売する顧客、さらにはその消費者にまで影響が及ぶことになると考えられる。

 今後どう対応するのか。ダイセルはウェルネスニュースグループの取材にこう答えた。

 現時点で供給しているフラボセルは「差止めの対象ではない」(IR・広報室)。

 というのも、同社は昨年の段階で『フラボセル EQ-5』の製法を変更していた。製品名も『フラボセル EQ-5N』に改めた。現在、EQ-5の製造販売実態はなく、全てが新製法のEQ-5Nに切り替わっているといい、「フラボセル EQ-5Nは当該判決の対象外。一般的に今後も継続使用していただける」(同)とする。

 また、訴訟を続ける構えも見せている。

 知財高裁の判決は「まだ確定していない」とし、上告する考えを示唆。その上で、「フラボセルEQ-5は大塚製薬社特許の権利の範囲外または特許の有効性に疑義があると考えている。当社方針に則り、粛々と訴訟対応を進める」(同)と取材に答えた。

大塚製薬、「独自性にこだわりをもっている」

 一方、大塚製薬は取材で次のように語った。

 「私たちは独自性を大切にしている。研究開発から消費者への普及啓発まで、当社にしか出来ないことを、こだわりをもってやっている。それを今度も大切にしていきたい」(広報部)。

 エクオールは、大豆などに含まれるイソフラボンの一種であるダイゼインが腸内細菌で代謝されて生まれる成分。更年期をケアする機能性のあることが報告されている。大豆に関連する商品を少なからず持つ大塚製薬は1990年代に研究開発をスタート、そして14年に初のエクオール配合サプリメント(エクエル)を発売。以降、消費者認知度がじわじわと高まり、大塚製薬以外からも配合商品が発売されていった。

 大塚製薬は外部への原材料販売を行っておらず、ダイセルがその役割をほぼ一手に担っているのがエクオール市場の構図。特許権を巡る係争の決着の仕方次第で、市場の未来が決まることになる。

【石川 太郎】

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