WNGセミナー、竹田竜嗣准教授が講演 機能性表示食品制度改正を受けたSR作成者・届出者が注意すべき点などを整理
㈱ウェルネスニュースグループ(WNG)は16日、「機能性表示食品エビデンスセミナー~機能性探索の新たなアプローチで素材を高付加価値化」をオンラインで開催した。
講師に関西福祉科学大学、健康福祉学部福祉栄養学科の竹田竜嗣准教授(=写真)を招へい。「機能性表示食品制度改正は、臨床試験・システマティックレビューにどのように影響するか」と題して講演した。
竹田氏は、最近の消費者庁からの指摘について「システマティックレビュー(SR)の方法や記述に関しては、健康食品産業協議会が作成した『機能性表示食品制度の届出資料におけるPRISMA 2020声明 システマティックレビュー記載の留意点』を参考に修正すること。バイアスリスクや非直接性の評価では基準の詳細を記載する必要があるが、基準を作る際に参考にした基準を必ず明記すること。報告バイアス(出版バイアス)の評価は、定量評価(メタアナリシス)実施時と定性評価で基準が異なるためそれぞれを記載すること。採用文献が多い場合は、メタアナリシスの実施ができるのであれば実施する」と説明した。
SR作成者、届出者が考えるべきこと
制度改正を受け、SR作成者、ならびに届出者が考えるべきことを整理した。竹田氏は、「SR作成者に関しては、SRを中立・公正に作成する、届出文言のアレンジは様式V-17でできるため、SR本文はアカデミック観点から作成すること」と指摘。「届出者については、SRの内容を理解する、届出文言のアレンジは独自にできるが、許可なくSR本文へ手を加えることは避ける、許可なくSR本文へ手を加えると、様式V-1-2に記載した事実と異なってくるため、改変したい時は手続きを経て事実を記載すること」と指摘した。
最後に竹田氏は、「機能性表示食品制度の改正によって、求められるエビデンスの要件が厳格化されている。臨床試験の実施やSR作成においても、正確な記述や実施が求められるようになった。特にPRISMA2020では詳細を正確、明確に記載する必要がある。疑義を受けないように、臨床試験の実施やシステマティックレビューの実施に留意すること。1報でのSRは制度上は問題ないが、採用論文が増えるよう今後エビデンスの拡充を検討していく必要が出てきている」と話した。
「ヘルスクレーム予測パッケージ」で素材の高付加価値化を実現
また、このほど最新サービス「ヘルスクレーム予測パッケージ」の提供を開始したヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ㈱事業開発部部長の山領佐津紀氏が、「食品素材の機能性探索の新たなアプローチ」と題して講演。

同社は、先端研究開発支援事業とヘルスケア・ソリューション事業を主軸に事業を展開している。先端研究開発支援事業によって最先端研究のブレークスルーに貢献し、ヘルスケア・ソリューション事業では、ヘルスケア関連企業が抱える研究課題の解決の貢献を目指している。
山領氏は、ヘルスケア・ソリューション事業として展開する新サービス「ヘルスクレーム予測パッケージ」によって新たな素材の機能探索アプローチ、素材のさらなる高付加価値化や機能性表示食品などの開発を効率化させる仕組みについて説明した。
WNGでは6月18日、本日講演したヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ㈱の山領氏らを講師に招き、福岡市内でセミナー「25年の機能性表示食品戦略」を開催する。現在、参加を受け付けている。
(文中の写真:講演するヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ㈱の山領佐津紀氏)
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