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HMPA、サプリからスープまで 【機能性表示食品特集】初登場から短期間で積み上がる届出

 丸善製薬㈱(日暮泰広社長)が製造販売する機能性表示食品対応素材の届出件数が伸び続けている。2022年度の届出総数1,400件余り(5月19日時点)のうち1割強に相当する約160件が、同社製の機能性表示食品対応素材に含まれる機能性関与成分を届け出たものだ。20年度と21年度も含めると約420件にも上る。新規の機能性関与成分である略称「HMPA」の届出件数も増えている。

可能なヘルスクレーム、すでに3種類

 HMPAの正式名称は「3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸」。届出が初めて公開されたのは22年2月。それから1年余りでおよそ30件の届出が公開された。新規の機能性関与成分としては届出件数の積み上げペースが速い。

 HMPAは、同社が開発した米ぬか発酵物「アクティボディRB」(アクティボディは丸善製薬㈱の登録商標)に含まれるポリフェノールの一種。食事などを通じて体内にとり入れられたポリフェノールが腸内細菌によって代謝されて生じる物質であり、生理活性も示すことから、同社ではHMPAを「ポリフェノールの活性本体の1つ」と評価する。「あらかじめHMPAの形で摂取することで、個人差がある腸内環境の影響を受けずに、ポリフェノールが持つさまざまな機能性が効率よく発揮される可能性がある」。

 新規の機能性関与成分であるにもかかわらず、HMPAの届出件数が短期間のうちに積み上がっている理由を推測すると、可能な届出表示(ヘルスクレーム)が1つにとどまらないことが挙げられる。現在までに3種類。「BMIが高めの方の腹部の脂肪を減らす機能」、「BMIが高めの方の腹部の脂肪とウエスト周囲径を減らす機能」、「食後血糖値が高めの方の食後に上昇する血糖値を元に戻しやすくするのをサポートする機能」がそれぞれ報告されている旨の3ヘルスクレームを行うことができる。

 ちなみに、同社がアクティボディRBを発売したのは21年夏。まだ2年程度しか経過していない。機能性に関する一定の科学的な根拠をある程度積み上げたうえで発売したことがうかがわれる。第4、第5のヘルスクレームが行えるようになるのも、そう遠い将来ではないのかもしれない。

特有の苦みなく、水への溶解性も高く

 短期間のうちに届出が積み上がっている理由としては他に、配合する食品の形態を問わない点を挙げることも出来る。これまでに届け出された食品の形態を見ると、サプリメントの他に、清涼飲料水(茶系飲料)、乾燥トマトスープ、包装米飯(玄米ごはん)、ゼリーと幅広い。植物など天然物の抽出物は、苦かったり水への溶解性が低かったりなどといった課題によって、配合する食品の形態が制限される場合もあるが、同社によれば、アクティボディRBにはそうした課題がない。

 1つの機能性関与成分で複数のヘルスクレームが可能であること、食品の形態を問わずに配合できる特性があること。その2つを背景にアクティボディRBは今後、サプリメントからそれ以外の加工食品まで、多くの機能性表示食品に配合されていく可能性が高い。同社としても、普及に向けて最大限の力を注いでいく方針を示している。

 一方、同社の主力機能性表示食品対応素材であるブラックジンジャー抽出物に含まれる機能性関与成分、ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンの届出件数は現在までに累計250件を突破。届出件数が全体で上位5番以内に入るニーズの高い機能性関与成分になった。それに匹敵する機能性関与成分にHMPAもなっていくかどうか。今後の動向が注目される。

【石川太郎】

『ウェルネスマンスリーレポート』2023年6月10日号(第60号)より転載

(冒頭の画像:HMPAの届出第1弾となった『アクティボディ顆粒』。消費者庁の届出情報公開データベースから)

<COMPANY INFORMATION>
所在地:広島県尾道市向東町14703-10
TEL:0848-44-2200
URL:https://www.maruzenpcy.co.jp/
事業内容:医薬品用素材抽出物、化粧品用素材抽出物、食品添加物、健康食品用素材抽出物などの製造販売

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