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HACCPセミナーに道内関係者150人

札幌市食品衛生管理認証制度衛生管理ネットワーク協議会(前林十三男代表)は8日、HACCP認証をテーマに食品衛生セミナーを札幌市内で開催した。約150人の関係者が参加し、関心の高さがうかがわれた。

 北海道大学名誉教授で旭川食品産業支援センターの浅野行蔵センター長は、「危害を知ってこそ危害要因の分析ができる」をテーマに講演。HACCPについて考える場合の基本として、「天災は忘れた頃にやってくる」と言い残したとされる戦前の物理学者・寺田寅彦の言葉を引用し、「ものを怖がらなさ過ぎたり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることはなかなか難しいことだと思われる」とし、安全な食品のために“正当に怖がる”ことがHACCP手法を用いる際に求められると述べた。

 HACCPの和訳の「危害要因・分析・必須点管理」がわかりにくいとし、食品を安全に製造するためには「心配事をいちいち見える化し、心配事にどのような処置をするのかを決断し、安全のための外せない勘所を定めることで全ての商品の製造において、勘所での処置を測定(見える化)する」のが、HACCPの運用手順であるという解釈を示した。

 同氏はHACCPの歴史にも言及。1973年当時に(1)「危害要因分析の実施」(HA)、(2)必須管理点の決定(CCP)と(4)モニタリングの3原則が提唱された。HACCPの考え方が浸透する過程で、(3)許容限界の設定(CL)と是正措置の設定の2原則が追加。さらに1989年に米国科学アカデミーの勧告で設立されたNACMCF(米国食品微生物基準諮問委員会)により(6)検証と(7)記録が追加されて、7原則がそろったと説明。「HACCPにとって(1)と(2)と(4)の3つが外すことのできない基本原則」と指摘した。

 具体的には、「危害要因分析とは心配事を全て出すこと」とし、「想定外を作らずに全ての心配事をリストアップすることがHACCPの山場」と説明。さらに、他人の心配事を否定せずにリストアップすることの必要性について繰り返し強調した。また、HACCPの7原則には具体的な方法は書かれていないとし、その理由について「食品は多様であり、製造方法も多様。個別の食品に個別の製造管理方法が存在するため、標準化してしまうと無駄も増える」とし、自社に合ったベストの方法を作り上げることがHACCPを適正に運用する最重要ポイントになると述べた。

 HACCPは合理的な考え方に基づいた食品衛生管理手法であるとし、「一刻も早く取り入れて、良い商品を生産し、かつコストもダウンを図ることが先決。現場が使いにくいHACCPには、どこかに誤りがあると思った方がよい」とHACCPの導入と運用の注意点を述べた。

 第1部ではこのほか、札幌市保健所食の安全推進課の坪松剛食品安全対策担当係長が「食品衛生法改正に伴う新鮮な話題」と題して、HACCP制度化の概要について講演。第2部では、道内企業の具体的な取り組みについて実例報告が行われた。

(写真:会場となった札幌市保健所「WEST19」講堂)

【田代 宏】

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