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しげよし返金問題の実態不透明 相談分散と非開示構造で被害の全体像見えず

 弁当宅配サービス「しげよし」をめぐる返金問題について、特定適格消費者団体である(特非)消費者支援機構関西(KC’s/ケーシーズ)が事業者に対し照会文を送付していたことが分かった。消費者被害の拡大が指摘される中、消費生活センターや国民生活センターも問題自体は認識しているものの、相談件数などの具体的情報は開示していない。問題は認識されながら、その実態が可視化されにくい構造が浮かび上がっている。

ケーシーズが事業者に照会

 ケーシーズは2月26日付で、「しげよし」をめぐる返金問題について、同サービスを展開しているとされる㈱ノコト(三重県四日市市、中野正宏社長)に対し書面を送付し、回答期限を今月末としている。
同団体は消費者契約法に基づき、事業者に対して情報提供や是正を求めることができる立場にある。もっとも、取材に対しては、対応に至った経緯や個別の相談内容などの詳細については明らかにしておらず、公開されている情報はウェブサイト掲載分に限られるとした。
 書面送付という対応が取られている事実から、本件が一定の問題意識の下で検討対象となっていることは確認された。
 一方で、「しげよし」を巡っては、過去に㈱寿美家和久(三重県津市)の小清水丈久社長がお詫びのコメントをブログに掲載するなど、関係事業者の構図が整理されておらず、責任主体の所在が判然としない状況にある。

相談は地域分散、実態把握困難

 弁当宅配サービス「しげよし」を巡る消費者トラブルについて、三重県および津市の消費生活センターに取材したところ、行政はいずれも問題の存在自体は認識しているものの、相談件数や対応状況の詳細については明らかにしない姿勢をとっていることが分かった。取材からは、制度上の制約により被害の全体像が把握しにくい構造が浮かび上がった。

 三重県津市消費生活センターによると、「しげよし」に関する相談は同センターにはほとんど寄せられていないという。担当者はその理由について、「消費者は居住地の消費生活センターに相談する仕組みであるため」と説明した。消費生活相談は消費者の居住地ごとに受け付けられるため、本社所在地である津市に相談が集中せず、各地域に分散する構造となっている。このため、問題の実態は地域ごとに分散して把握されることになるというのである。

 また、同センターは当該事業者に対する直接的な指導権限を有しておらず、対応は相談者を居住地の消費生活センターへ案内することにとどまると説明した。三重県レベルでも相談件数は多くないとの認識を示し、本店所在地周辺の顧客については一定の対応が行われている可能性があるとした。

 一方で、弁当未着や返金トラブルなどの問題については、担当者も報道などを通じて把握しているという。ただし、具体的な相談内容や件数、対応状況については、「センター側から提供できる情報には限界がある」として説明を控えた。また、全国的な相談状況の把握については、国民生活センターのPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)による確認が適切であるとした。

PIO-NETと非開示が壁に

 三重県消費生活センターにも確認した。同センターも、「しげよし」を巡る問題については認識しているとした。他方、当該事業者に関する相談件数については、「風評被害防止の観点から全国共通のルールとして開示できない」と説明した。同センターによれば、消費者相談はPIO-NETにより全国的に一元管理されているが、その情報は外部には公開されておらず、特定事業者に関する件数の開示は原則として認められていないという。

 相談の傾向としては、「三重県内よりも他県からの相談が多い」という。本店所在地よりも他地域で相談が多いという構図は、トラブルが広域的に発生している可能性を示唆するものである。事業者に対する行政の対応については、「公表できない状況」として明言を避けたものの、一定の対応を行っている可能性が示唆される。

 今回の取材からは、消費生活センターが消費者保護の最前線に位置しながらも、相談は居住地ごとに分散し、情報はPIO-NETに集約される一方で外部には公開されず、さらに自治体ごとの権限も限定的であるという制度構造により、被害の全体像が外部から把握しにくい状況が浮き彫りとなった。行政内部には情報が蓄積されている一方、それが社会的に共有されにくい構造は、被害の広がりを可視化しにくくする要因ともなっている。

 国民生活センターの対応も重要な論点となる。同センターは、報道機関からの照会に対する情報提供について規程を定めており、一定の条件下では特定事業者に関する相談件数などを回答できる場合があるとされている。規程第8条第4項では、行政処分や捜査、破産などの事実がある場合の他、「報道その他によってすでに明らかになっている事業者」に該当する場合などに、照会に応じて回答できる可能性があるとされている。
 もっとも、本件が同規定に該当するかについては、報道実態などの確認を踏まえて判断するとしており、現時点で開示の可否は確定していない。このため、編集部では、同センターに対し照会文を送付し、回答の可否について確認を進めている。

 問題は認識されているが、その全体像は見えにくい――今回の取材は、消費者行政における情報集約と情報公開のあり方を改めて問いかけるものとなっている。

【田代 宏】

関連記事:しげよし返金問題に照会文送付 消費者支援機構関西が組織・契約形態を質問

(冒頭の画像はイメージです)

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