健康被害情報の報告、4月から電子化 厚労省運用の食品衛生申請等システム活用 DX化で被害の拡大防止図る
事業者が行政機関に対して行う、健康食品との関連が疑われる健康被害情報の報告について、新年度(2026年4月)から方法が改められる。従来は事業者が所定の様式(Excel)に情報を記入し、所轄自治体の保健所にメール等で報告していたが、厚生労働省が管理・運用する「食品衛生申請等システム」に事業者が情報を直接入力して電子報告する方法に変わる。
健康食品のうち、健康被害情報の報告が義務付けられている機能性表示食品と特定保健用食品(トクホ)については、保健所に加えて所管の消費者庁へ報告する必要があるが、4月以降、同システムを通じて報告した場合は、同庁とも情報が共有されるため同庁への報告が不要になる。
消費者庁、機能性表示食品届出者らに事務連絡
食品衛生申請等システムは、食品等事業者が保健所の窓口で手続きする必要のあった営業許可申請や営業届出などを電子化する目的で構築され、2020年から運用が始まった。食品等の自主回収(リコール)情報の届出にも使われている。
厚生労働省は、昨年から、事業者が健康食品による健康被害情報を報告できるようにするためのシステム改修を進めていた。この背景には、2024年に生じた小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題があり、問題への対応にあたった関係閣僚会合が健康被害報告のDX化を進める方針を示していた。報告の迅速化をはじめ、集積された情報の中から類似事例をすぐに取り出せるようにしたり、情報の分析に要する時間を短縮したりすることで、健康被害の拡大を未然に防ぐ狙いだ。
食品安全行政のうち監視・指導を担当する厚労省の健康・生活衛生局食品監視安全課は、4月1日から新しいシステムの運用を開始し、事業者が健康被害情報の報告も行えるようにする考えだ。事業者がシステムに入力した情報は自治体保健所等の行政機関も確認できる。このため、「報告の仕方が変わるだけで、報告先や報告すべき事項などが変わるわけではない」(食品健康被害情報管理室)としている。報告に係る新システムの操作マニュアルも作成しており、今月末までに同省のウェブサイトに掲載する予定だ。
事業者がシステムに入力した情報は、同様に消費者庁も確認できる。このため、保健所に加えて同庁にも健康被害情報を報告しなければならない機能性表示食品とトクホについて、「本システム(食品衛生申請等システム)により健康被害に関する情報を提供した場合には、消費者庁長官にも提供したと取り扱う」こととする。同庁の食品表示課は16日、機能性表示食品の届出者とトクホの表示許可取得事業者に対し、それを伝える事務連絡を発出した。事業者からは、「負担が多少は減る」と歓迎する声も上がる。
機能性表示食品などと同様に健康被害情報の報告が義務付けられている指定成分等含有食品に関しても、4月以降、事業者は食品衛生申請等システムを通じて電子報告することになる。その他、健康被害情報の報告が努力義務とされている健康食品を含む食品全般についても、事業者が報告する際は同システムを利用することになる。
健康食品全般の健康被害情報は、厚生労働省に集約され、有識者が委員を務める、厚生科学審議会食品衛生監視部会に設置の「機能性表示食品等の健康被害情報への対応に関する小委員会」で食品衛生法上の措置の要否が検討される。4月以降もこの流れは変わらない。
【石川太郎】
関連資料:厚生労働省の「食品衛生申請等システム」に関する情報はこちら
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