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東大社会連携講座訴訟、準備手続 活動経費3000万円の妥当性など巡り原告が反論

 東京大学大学院医学系研究科の社会連携講座を巡り、(一社)日本化粧品協会(JCA、東京都文京区、引地功一代表理事)などが東京大学および関係者を相手取って提起した民事訴訟で、2月24日、東京地裁において3回目の弁論準備手続が行われた。ウェルネスデイリーニュース編集部は裁判記録の閲覧に基づき、その概要を以下のとおり報告する。

原告側が準備書面提出、活動経費の内訳

 原告側(日本化粧品協会)は2月16日付で準備書面を提出し、被告側の主張に対する反論と主張の補充を行った。書面では、社会連携講座に関する活動経費の負担関係や研究費の支出実態など、複数の論点が示された。

 まず、東京大学が原告側に対して請求している活動経費についてである。原告側によれば、大学が請求している金額は3,000万円であり、その内訳は①吉崎歩氏の給与1,300万円、②特任講師の給与870万円、③消耗品費137万7,000円、④間接経費692万3,000円で構成されている。

 原告側は、活動経費について日本化粧品協会が連帯債務を負うとの大学側の主張を最終的に受け入れ、その前提で相殺を主張している。すなわち、大学が請求する活動経費について支払い義務があるとしても、原告側が被った損害と相殺されるべきであるとの立場を取っている。今回の民事訴訟では、大学が請求する活動経費3,000万円の妥当性と、研究費の支出が適切であったかが大きな争点となっている。

 一方で原告側は、大学側が当初は連帯債務の存在を前提として請求を行っていたにもかかわらず、訴訟段階では原告協会の債務の有無について異なる主張をしていると指摘した。このような主張の変遷は信義誠実の原則に反するものであり、認められるべきではないと主張している。

人件費や研究費支出が争点

 また、大学が請求する活動経費のうち、特任講師に関する2023年度の人件費相当額についても争点となっている。原告側は、当該講師が本件研究に実質的に従事していないと主張し、この人件費は研究に必要な実費としての性質を欠くと指摘した。そのため支払い義務は生じないとし、仮に控除が認められない場合でも損害に当たるとして相殺の対象になるとしている。

 さらに、研究機器の購入についても争点が示された。原告側は、被告側が本件研究のためとして購入を求めた機器が、別の企業との共同研究に使用される目的で導入された可能性があると主張した。機器の種類や購入時期、研究計画との関係などを根拠として、原告側の資金が別件研究のために利用された可能性が高いと指摘している。

 この他、研究費の支出を巡る接待や私的支出の問題についても言及された。原告側は、スーツケースの購入や私的旅行費、第三者へのエステ代など、共同研究の遂行とは合理的な関連性を持たない支出が行われたと主張している。これらの支出は、佐藤伸一教授による威圧的な言動や講座廃止を示唆する発言などによって形成された心理的状況の下で行われたものであり、不法行為に当たると位置付けている。

 さらに原告側は証拠関係について求釈明を行った。吉崎歩氏が、佐藤伸一氏からの罵倒や脅迫とされる発言を録音した音声を警察に提出しているとされる点について、録音の有無や内容の提出を求めている。また、研究の進捗に関して提出されたとされる特任講師の論文についても、提出の有無や執筆者などの説明を求めた。

裁判所、争点整理中心へ

 原告側代理人によれば、今回の弁論準備手続では証拠が多数に及ぶことから、今後は書面のやり取りを中心とするのではなく、争点整理を軸とした審理を進める方向が裁判所から示されたという。
 社会連携講座の契約関係や研究費の支出実態などを巡る争いは、刑事事件とは別に民事裁判として審理が続いている。次回の弁論準備手続は3月25日に予定されている。

【田代 宏】

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