HACCP聴取、計10団体完了 厚労省の食品衛生監視部会、導入課題に専門知識持つ人材の不足など
厚生労働省の厚生科学審議会食品衛生監視部会は5日、HACCPに沿った衛生管理の導入状況に関する事業者団体ヒアリングを実施した。先月26日に開催した前回の部会でも同様に事業者団体ヒアリングを行っており、小規模事業者が多い飲食店、製造・加工業、販売業の計10団体を通じて現場の声を聴いた。事務局を務める同省健康・生活衛生局の食品監視安全課は今後、ヒアリングを通じて得られたHACCP導入の工夫を他業種へ共有するとともに、挙げられたニーズに対してより具体的な方法を提案する。
同部会は、昨年10月から2018年食品衛生法改正の施行状況等を踏まえた課題を議論している。その中で、検討事項の1つに、同改正で制度化したHACCPに沿った衛生管理の徹底が挙げられている。その他の検討事項は、同じく同改正で制度化された指定成分等含有食品、食品等の自主回収届出、さらに、同改正に直接関係しないが、2024年に生じた小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題を受け、サプリメントに関する規制の在り方も、消費者庁の食品衛生基準審議会新開発食品調査部会と連携しながら検討することになっている。
同部会が5日にヒアリングを行ったのは、(一社)日本フードサービス協会、(一社)日本惣菜協会、全国菓子工業組合連合会、日本醤油協会/(一財)日本醤油技術センター、全日本漬物協同組合連合会の5団体。前回、先月26日の部会では、(公社)日本食品衛生協会、(一社)日本フランチャイズチェーン協会、(一社)全国スーパーマーケット協会、全国水産物商業協同組合連合会、全国食肉事業協同組合連合会の5団体へのヒアリングを実施していた。
厚労省の調べによると、飲食店、製造・加工業、販売業におけるHACCPに沿った衛生管理を「実施又は一部実施」している施設は、2021年度・22年度調査では約7~8割。これが25年度調査では約8~9割まで増加。「導入に向けて準備中」と回答した施設は約1~2割だったが、業種に関わらず従業員数が少ない施設で導入率が低い傾向が見られた。また、導入にあたっての課題として、「社内に導入を指揮できる人材がいない」などといった声が挙げられているという。
実際、人材の不在がHACCP導入の足かせになっている。5日のヒアリングでも、日本惣菜協会が中規模惣菜工場における導入課題として「社内にHACCPの知識がある人材がいない」ことを挙げた。導入を率先する人材がいなかったり、知識がないため構築した仕組みやHACCP書類を評価できなかったりする課題があるという。そのため、HACCP導入に重要なのは人材育成だとし、同協会として認定・資格制度を運用するなど積極的な人材育成に取り組んでいることを紹介した。
前述の厚労省調査は、回答率が20%台にとどまる。このため、調査結果は、HACCP導入に対する意識の高い事業者を中心とするもので、実態が反映されていないとの見方もある。この日の部会で委員のひとりは、「なかなか導入が進んでいない実態があるように思う。今後、行政から(HACCP導入に向けて事業者を)支援するようにお願いしたい」と厚労省に求めた。
【石川太郎】
(冒頭の写真:3月5日に行われた第8回厚生科学審議会食品衛生監視部会の様子)
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