サプリとは何か、GMPは義務化か 消費者庁新開発食品調査部会が業界・消費者団体からヒアリング
小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題を受け、厚生労働省と消費者庁の両審議会が昨年終盤から検討に着手しているサプリメント規制の在り方について、消費者庁の食品衛生基準審議会新開発食品調査部会は5日、業界団体および消費者系団体の計5団体を対象にヒアリングを行った。
検討事項であるサプリメントの定義や、適正な製造管理(GMP)の在り方を中心に意見を聴取した。前回、昨年11月の会合では、業界5団体から同様の意見聴取を行っている。事務局を務める同庁の食品衛生基準審査課は今後、ヒアリングを行った計10団体の意見や部会委員の見解を整理し、次回会合で具体的な検討を進めるための方向性を示す考えだ。海外のサプリメント規制の状況なども検討材料に盛り込む。
検討事項としてはこのほか、事業者による健康被害情報の報告や、営業の許可・届出の在り方があり、これらについては厚生労働省の厚生科学審議会食品衛生監視部会が検討を担う。食品衛生行政を所管する両省庁が連携し、サプリメント規制の在り方を今年4月以降、遅くとも年末までに取りまとめる方針だ。
2024年に発生した死亡事例を含む健康被害問題を受け、機能性表示食品と特定保健用食品については、健康被害情報を行政へ報告することが事業者に義務付けられた。また、それぞれのサプリ形状食品(天然抽出物などを原材料とする錠剤、カプセル剤等の食品)については、製品の製造管理におけるGMP基準の遵守も義務化されている。その他の区分のサプリメントにも同様の義務を課すかどうかが、今後の検討の焦点となる。

消費者団体、GMP義務化で意見一致
5日の会合でヒアリングが行われたのは、業界団体の(公財)日本通信販売協会(JADMA)をはじめ、消費者団体の主婦連合会(主婦連)、(一社)全国消費者団体連絡会(全国消団連)、(一社)Food Communication Compass(FOOCOM)の他、(一社)日本生活協同組合連合会(日本生協連)の5団体。
各団体は、サプリメントの定義やGMPの在り方にとどまらず、規制全般を巡る意見や提言を行った。JADMAは「サプリメントの在り方」も提言し、機能性表示食品など保健機能食品の拡充に加え、食品衛生法などから独立した「サプリメント法」の制定を求めた。一方、主婦連は、サプリメントを医薬品でも一般食品でもない独立したカテゴリに位置付け、その上でサプリメント全般の安全性確保を図る新たな規制を要望した。
ヒアリングでは、GMPを巡る消費者系3団体の意見は義務化で概ね一致した。全国消団連は、健康食品のうち、特にカプセル剤、錠剤、粉末、濃縮エキスなどは「曝露量が圧倒的に多くなる」ため、「安全上のリスクは高くなる。一回の摂取量が多いだけでなく、それを長期間摂り続けることは、さらにリスクが高いといえる」と指摘。その上で、機能性表示食品や特定保健用食品に限らず、「錠剤やカプセル剤、グミなども含め、サプリメントと定義されるものには、製品の製造・品質管理におけるGMPを遵守すべきだ」との考えを示した。
また、消費者組織であると同時に食品関連事業者でもある日本生協連も、「安全性確保のためには、いわゆる健康食品の高リスク製品については、どの区分であっても、特定保健用食品や機能性表示食品と同等レベルのGMPが実施されるべきだ」との考えを述べた。
一方、JADMAは、サプリメント製造販売事業者の多くが製品の製造を外部の受託製造(OEM・ODM)事業者に委託している業界構造と、国が2005年からGMPに基づく製造管理を推奨し、受託製造事業者がこれを自主的に工場へ導入し運用してきた経緯を説明。その上で、多くの工場は「GMPに則っているため大きな健康被害や品質問題は生じていない」と主張した。小林製薬が引き起こした健康被害問題は、同社が製造した原材料の製造・品質管理に起因する。
さらに、すでに機能性表示食品と特定保健用食品のサプリ形状食品にGMP基準の遵守が義務付けられている中で、「過度な規制は既存のサプライチェーンが崩れる懸念がある」、「製造コストの上昇は製品価格に反映され、結果的に消費者の負担増につながる」として、慎重な検討を求めた。「サプリメントのGMPは(すでに業界に)実装されており、これを活用すべき」との立場だ。
JADMA主張、権利と義務の均衡に配慮を
そもそも、サプリメントとは何か。一般的に使われる言葉だが、日本には法律上の定義がない。このため、GMPを義務付けるかどうかなど規制の在り方を検討する上でも、まずは定義(規制の範囲)を定める必要がある。
5日のヒアリングでFOOCOMは、目的、成分、形状の3要素から成る定義を規定するよう提言した。全国消団連も同様に、目的については「健康の保持増進をうたって販売されるもの」、形状と成分については「カプセル、錠剤、粉末、濃縮エキス、一部のグミやタブレットなどを含め、特定の栄養素や成分を濃縮したもの」であり、かつ「医薬品ではなく、一般的な食品とも異なるもの」であることが、サプリメントの定義として重要だと指摘。その上で両団体は、定義に該当する製品の容器包装に「サプリメント」と表示することを義務付けるよう求めた。
これに対し、日本生協連は、定義を先に決めるのではなく、製品のリスクの程度に応じた規制を検討すべきだと主張。特定の成分を、通常の食事で摂取できる量を超えて少量単位で摂取することが「高リスク」だとし、そうした製品は、たとえ「グミのような菓子の形状」であっても規制が必要になるとの認識を示した。
また、製品に配合する原材料についても言及し、通称「3.11通知」の別添1「原材料の安全性に関する自主点検及び製品設計に関する指針」について、事業者の実施に強制力を持たせていく方向性を提案した。
一方、JADMAは定義を巡り、消費者団体とは異なる視点を示した。
諸外国では、サプリメントの定義の前提として、消費者の適切な選択に資する表示やルールといった「権利」と、品質・安全性を担保するための製造基準や健康被害報告といった「義務」がセットで整備されていると指摘。その上で、定義の検討に当たっては、「消費者保護と事業者側の権利・義務、メリットとデメリット、さらには一般食品とのバランスに十分配慮する必要がある」と主張した。
そして最後に「規制を強化するだけでなく、サプリメントに対する権利を明確にすることで、産業に対しての希望があるような対応が必要だ」と訴えた。
【石川太郎】
(冒頭の写真:5日開催の新開発食品調査部会、事務局の様子。委員とヒアリングを受けた団体はオンライン参加)
関連資料:2026年2月5日「令和7年度第5回食品衛生基準審議会新開発食品調査部会」配布資料は消費者庁のウェブサイトから
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