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消費者委、食品表示基準改正を審議 カシューナッツ表示義務化と個別品目別表示見直し

 消費者委員会は21日、第80回食品表示部会を開催し、食品表示基準の一部改正案について審議した。第9次消費者委員会発足後、初の食品表示部会となった今回は全委員が出席。食物アレルギー表示の見直しとしてカシューナッツを特定原材料に追加する案や、旧JAS法・旧食品衛生法に由来する個別品目ごとの表示ルールの整理が主な論点となった。経過措置や周知のあり方についても活発な意見が交わされた。

カシューナッツを特定原材料に追加

 消費者庁は、食物アレルギー表示に関して、特定原材料に「カシューナッツ」を追加する改正案を提示した。全国実態調査において、カシューナッツによる即時型食物アレルギー症例数が増加傾向にあり、重篤な症例も確認されていることが背景にある。
 これまでカシューナッツは「特定原材料に準ずるもの」として扱われてきたが、症例数の増加が一過性とは考えにくい状況を踏まえ、表示の強化が必要と判断された。安全性への影響が大きい事項であることから、経過措置期間は2年間とし、2028年3月31日までとする方針が示された。

個別品目表示ルールを横断基準へ整理

 個別品目ごとの表示ルールについては、旧JAS法や旧食品衛生法に由来する品目別規定が多数残存している現状について説明。これらについて、横断的な表示基準で対応可能なものは廃止し、消費者の商品選択に資する事項に絞って維持する方向で見直しを進めてきた。

 消費者庁は、分科会での検討を踏まえ、原材料規定、内容量規定、強調表示規定、表示禁止事項などについて、品目間で差異が生じている状況を整理した。旧食品衛生法に由来するルールについては、食品衛生上必要な事項は維持する一方、横断的基準で代替可能な品質表示は廃止する考え方を示した。
これまでの検討では、ドレッシング、食用植物油脂、果実飲料などについて定義の見直しや表示方法の簡素化が行われてきたことを説明。また、一部品目については、完全に個別ルールを廃止した事例もあるとした。

 消費者庁は、今回の改正案に加え、今後の検討課題として、品目ごとの横並び整理を挙げた。原材料規定が残存する品目、内容量規定や強調表示規定が残る品目、表示禁止事項が設定されている品目について、引き続き整理を行う必要があると説明した。
 施行スケジュールについては、パブリックコメントを昨年12月26日から今年1月30日まで実施中で、その結果を踏まえて次回部会で改めて議論することになる。個別品目表示ルールに関する経過措置期間は4年間とし、30年3月31日までとする方針が示された。

経過措置中の周知と検査体制に懸念

 出席した委員からは具体的な懸念や確認事項が相次いだ。
 アレルギー表示に関しては、カシューナッツを特定原材料として義務表示に追加する改正案について、賛同を前提としつつも、経過措置期間中の対応を問題視する意見が出された。
 フードロス対策の進展により消費期限が迫った商品が市場に流通する可能性を踏まえ、旧表示と新表示が混在する経過措置期間における消費者への周知が極めて重要であるとの指摘が行われた。これに対し消費者庁は、経過措置期間の満了を待たず、準備が整った事業者から早期に新表示へ移行することを推奨する考えを示した。また、自治体への事務連絡や既存の消費者啓発の機会を活用し、周知を図る方針を説明した。

 イクラやアワビが検討対象とならなかった理由についても質問があり、消費者庁は、現物で容易に確認でき、表示による回避が比較的可能であることなどを理由に挙げた。一方で、アワビについては将来的な検討の余地があるとの認識も示された。
 また今回、「特定原材料に準ずるもの」の対象品⽬数が、特定原材料の対象品⽬数と併せて29品目となったことについて森田委員から、その経緯について報告が行われた。
 
 カシューナッツ義務表示化の前提となる検査法について、部会長から確認があり、検査法の妥当性が説明された。
 ナッツ類は検査法開発が困難とされてきたが、事業者の協力により、カシューナッツとピスタチオ、くるみを峻別できる体制が整ったとされた。PCR法やLC-MS/MS法(液体クロマトグラフィー質量分析法)を含む確認試験法が確立されたことにより、行政として監視に耐え得る水準にあるとの認識が示された。
 委員からは、アレルギー表示を巡り、社会的コスト、国際整合性、事業者の実行可能性、表示の分かりやすさという複数の観点から、制度の持続可能性を検討すべきとの意見が出された。アレルギー表示に起因するリコールが多い現状を踏まえ、事業者負担の大きさも課題として挙げられた。

個別品目表示見直しに関する確認

 個別品目ごとの表示ルール見直しについては、旧JAS法由来、旧食品衛生法由来の表示それぞれについて質疑が行われた。
 果実飲料の濃縮還元表示や加糖表示については、消費者に有益な情報として維持されることを確認した。また、柑橘類表示については、国産・輸入を問わず「柑橘類」とまとめて表示できる考え方が説明された。

 ドレッシング類の分類名称が不要になることで、栄養情報利活用に不便が生じないかとの質問があった。これに対して消費者庁は、栄養成分表示が義務化されているため分類名称での区別は不要と回答した。

 食品衛生法由来の表示では、冷凍食品の「加熱後摂取」、「無加熱摂取」の区別について、規格基準が異なるため表示は維持されることが確認された。

 乳製品に関しては、乳脂肪分の重量表示の廃止や「乳または乳製品を主要原料とする食品」の表示廃止について議論が及んだ。ヤギ乳や羊乳の扱いとアレルギー表示との関係については、これらの乳がアレルギー対策の中に入っていないという資料を次回会合で消費者庁が準備することとなった。

次回はパブコメ結果踏まえ最終判断へ

 部会長は、今回の改正案について部会として概ね好意的に受け止めているとの認識を示した。その上で、次回はパブリックコメントの結果も踏まえ、最終的な結論を導けるよう努めたいとし、答申は先送りとした。また、次回開催時に、アレルギーの検討会の名簿、さらに患者会へのヒアリングなどが行われているとすればその経緯に関する資料の提出を求めた。

 主な委員からの報告や質問、およびアレルギー検査法の運用状況については以下に詳報する・・・(⇒続きは会員専用記事閲覧ページへ)

【田代 宏】

配布資料はこちら(消費者委員会HPより)

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    :食品表示基準改正を消費者委へ諮問 消費者庁、アレルギー表示など制度見直しへ

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