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第三者認証は根拠か?景表法の境界 SB C&S措置命令に見る判断基準

 第三者機関の認証は、広告表示の「合理的な根拠」となり得るのか。消費者庁がSB C&S(東京都港区、草川和哉社長)に措置命令を出した事案は、認証マークと景品表示法の関係に改めて問いを投げかけた。SIAA認証を掲げた表示が否定された背景には、試験条件と実使用環境の乖離という、これまでも繰り返されてきた論点がある。認証の価値と広告表現の限界を、行政と認証団体双方の見解から整理する。

消費者庁がSB C&S社に措置命令

 消費者庁は昨年12月18日、ソフトバンク傘下でIT関連製品の製造・流通・販売などを行うSB C&S社に対して、景品表示法に基づく措置命令を行った。措置命令の対象となったのは、「INVOL ULTRA コーティング」シリーズおよび「INVOL Extra Fine コーティング」シリーズの計4商品。これらの商品について同社は、商品パッケージや自社ウェブサイト、YouTube動画配信などにおいて「強固なガラス被膜でキズから保護」、「防キズ」、「抗ウイルス・抗菌」などの表示を行っていた。消費者庁は、これらの表示がコーティング剤を端末画面に塗布することで、①傷の発生を防止する効果、②細菌の増殖を抑制する効果、③特定のウイルスの数を減少させる効果――が得られるかのように一般消費者に認識させる内容だったと判断。合理的な根拠を示す資料の提出を求めたものの、「同社から提出された資料はいずれも、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められなかった」としている。

 SB C&S社は、スマートフォン向けコーティング剤などのパッケージで、特定の試験をクリアした証である「SIAAマーク」を掲げ、「抗ウイルス・抗菌」をうたっていた。ところが消費者庁は、その表示の裏付けとなる「合理的な根拠」が不足していると判断した。 第三者機関による認証が根拠として認められないという結果について、措置命令を下した消費者庁と、SIAA認証を行う(一社)抗菌製品技術協議会(SIAA/東京都渋谷区、庄田正博代表理事)の見解はどういうものだったのか――。

「認証=広告の根拠」とはならない消費者庁の見解

 景品表示法を担当する消費者庁表示対策課の担当官は取材に対して、あくまでも一般論と前置きした上で、「SIAA認証を全面から否定するわけではないが、同認証は持ち込まれた検体とその試験方法に基づき合格を与えるというものであり、実使用環境での効果を保証するものではない。そのため、認証があるからといって、そのまま全ての広告の根拠にはならない」と説明している。

 一方のSIAAは取材に対して、消費者庁の見解があくまでも一般論であるため、どの製品や試験方法を指しているのかは定かではないとしつつも、「同認証はJIS規格に基づいた厳格な試験をクリアした製品に与えられるもので、公的規格に準拠した試験であり合理的」と強調する。 
 さらにその試験方法についてSIAAの担当者は、使用用途に応じて屋外・屋内、水に触れるか否かなどの条件を考慮した複数の試験パターンを設けていると説明。「現行の試験方法が不十分だというのであれば、消費者庁側が網羅的な試験方法を提示すべき」と反論している。

 また、認証の仕組みとしては、事業者から提示された検体に対し、定められた試験方法を実施し、基準値を満たせば認証が与えられる。これは、認証された製品が市場で同一の製法で製造されることを前提としているとも説明した。
 品質管理体制については、企業による年1回の自主的な外部試験と、SIAAによる年間約200社を対象とした市場製品の定期的な検査体制を敷いているという。さらに、試験で不合格となった場合は、企業に是正報告と再試験が求められるほか、正当な理由なくサンプルを提出しない場合は、理事会での審議を経て製品登録が抹消される可能性があるという。
 なお認証された製品については、SIAAのウェブサイトで登録番号や製品名から検索が可能で、これにより、試験を実施した試験場、報告書番号、抗菌活性値などの情報を一般に公開している。今後、消費者庁から一般消費者の使用状況に即していないなどの具体的な指摘があった場合には、試験方法の見直しを検討する可能性はあるものの、現時点ではそれがないため、試験方法やガイドラインの見直しを行う予定はないとしている。

繰り返される「密閉空間」と「実空間」の壁

 今回の件は、過去に世間を騒がせた大幸薬品の空間除菌製品「クレベリン」シリーズを巡る騒動を想起させる。大幸薬品もまた、二酸化塩素による除菌効果を謳い、試験機関によるデータなどを根拠として提示していた。
 しかし、消費者庁はクレベリンに対しても、「試験空間(密閉された実験室など)での結果は、生活環境(実空間)での効果を直ちに保証するものではない」として、2022年以降、相次いで措置命令を出した。大幸薬品は「産業界で一般的に認められた試験方法だ」と裁判で争い、一時的に差し止めが認められる場面もあったが、最終的には行政側の主張が通り、多額の課徴金納付を命じられる結末となった。

認証マークの信頼性が問われる時代へ

 第三者機関の「お墨付き」を得ていても、消費者が日常的に使う場面(今回のケースであれば、スマートフォンの使用環境など)での効果を客観的に証明できなければ、景品表示法違反と見なされる可能性があるということになる。
 「認証マーク=科学的根拠」という図式が必ずしも当てはまらない今回のケース。事業者は、認証マークを単なる免罪符として使うのではなく、それが示す試験内容と自社の広告表現が適切に対応しているかを厳しくセルフチェックし、誇大広告にならないように注意しなければならない。
 一方で、消費者の信頼の指標である「認証マーク」であっても、行政判断によってその価値が揺るがされかねない現状も見過ごせない。消費者庁には、市場の健全な発展を阻害することがないよう、事業者が納得でき、かつ消費者が守られる「合理的な基準」の確立が求められている。

【藤田 勇一】

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