サプリ規制、取りまとめ来年4月以降 委員が意見、スピード感もってしっかり議論を
2018年の食品衛生法改正における改正事項の見直しとサプリメントに対する規制を検討している厚生労働省の厚生科学審議会食品衛生監視部会の会議が25日にあり、取りまとめに向けたスケジュールを確認した。事務局を担当する同省の食品監視安全課は、取りまとめは「2026年4月以降」とする予定を示した。部会の医師系委員からは、サプリメント規制の検討に関して、拙速にならず、かつ、スピード感をもって進めるべきだとする意見があがった。この日の会議には、同課と連携して検討を進める消費者庁の食品衛生基準審査課も出席した。
サプリメントに対する規制については、昨年生じた小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題を踏まえて検討することとされた。検討事項は、①定義、②製造管理(GMP=適正製造規範)のあり方、③事業者による健康被害情報の報告、④営業の許可・届出の大きく4項目。①と②は消費者庁、③と④については厚生労働省が所掌する。現状では存在しない法的な定義のあり方が全体に影響を与えるとみられる。
2018年食品衛生法改正の改正事項見直しに関しても所掌が分かれており、HACCPによる衛生管理の徹底、指定成分等含有食品、食品等のリコール制度の検討は厚生労働省の食品衛生監視部会が担当。一方、食品用器具・容器包装等のポジティブリスト制度に関しては消費者庁の食品衛生基準審議会が担当する。
今のところ、各検討事項について具体的な審議には入っていない。ただ、サプリメント規制に関して消費者庁の食品衛生基準審議会の新開発食品調査部会は先月、定義とGMPについて事業者団体へのヒアリングを実施しており、厚生労働省の25日の会議に出席した同庁の食品衛生基準審査課長は、事業者や委員からあがった意見を要約して紹介。定義の検討に関しては錠剤やカプセル剤など形状に限定されないこと、GMPに関してはグミなどの菓子類、さらに原材料に対してGMPを適用させるのは難しいとみる事業者団体に対し、委員からは「最も重要なのは安全性だ」とする意見があげられていることを伝えた。
新開発食品調査部会は今後、消費者団体からも意見を聴くことにしている。
病状改善目的で利用する消費者も
厚生労働省の25日の会議では、委員の藤原慶正・日本医師会常任理事がサプリメント規制について意見し、サプリメントの利用目的を把握することが大事だとした。それに対して消費者庁の食品衛生基準審査課長は、同庁の消費者安全課が今年3月実施した『いわゆる「健康食品」に関する消費者アンケート調査」の結果、健康食品の利用目的として「病状の改善」を挙げる消費者が一定の割合で存在していたことを伝え、「リスクコミュニケーションを進めていくことも重要だと思っている」と述べた。
一方、藤原氏は「薬に近いと考えている人もいる」と指摘し、「そういう人もいるのだとすれば、サプリメントを厳格に規定して管理しなければいけない、それもできるだけ早い段階で」などと意見した。
同アンケート調査は、健康食品利用者1万人(日本在住の男女20歳~79歳)を対象にインターネットで実施したもの。健康食品の利用目的を尋ねた複数回答の設問では、「健康の増進」が45.3%でトップ。次いで、「体調の維持や病気の予防」(42.8%)、「特定の栄養素の補給」(36.8%)、「疲労回復」(32.3%)、「美容」(16.3%)、「ダイエット」(16.1%)、「老化予防」(15.5%)、「病状の改善」(11.0%)、「健康診断で受けた指摘の改善」(6.7%)などと続いた。
【石川太郎】
(冒頭の写真:12月25日午前、都内会場とオンラインの併用で開催された厚生科学審議会食品衛生監視部会の様子)
「サプリメント規制あり方検討」関連記事
検討スタート 定義・製造管理・健康被害報告など本格議論へ 食品衛生法の一部見直しも
論点増える 厚労省、「営業の許可・届出」を審議事項に追加
サプリの定義、議論スタート 消費者庁食品衛生基準審議会「形状だけで判断すべきでない」
「健康食品」めぐる消費者意識 消費者庁が初の調査、1万人対象にインターネットで実施
検討始まった「サプリ規制のあり方」 健康被害問題受けた「さらなる検討課題」
サプリ規制の行方を注視する消費者委 包括的規律求める意見書が背景、広告規制にも注目











