11月都区部の物価、上昇続く 正月食材に影響、米・根菜高止まり
東京都は、11月の生活関連商品の価格動向(中旬速報)を公表した。価格はいずれも消費税込み。
都区部物価指数、前年同月比2.7%上昇
11月の東京都区部消費者物価総合指数は、令和2年(2020年)を100として112.2となり、前月比で0.3%上昇(季節調整値)、前年同月比で2.7%上昇した。生鮮食品を除く総合指数は111.4となり、前月比で0.3%上昇、前年同月比で2.8%上昇した。
10大費目別に前月と比較すると、光熱・水道が4.1%、被服及び履物が1.3%、食料が0.3%、住居が0.2%、諸雑費が0.1%それぞれ上昇した。一方、家具・家事用品は0.4%、教養娯楽および交通・通信はそれぞれ0.1%下落し、保健医療と教育は横ばいであった。前年同月比では、食料が5.5%、被服及び履物が4.6%、交通・通信が3.2%、教養娯楽が2.6%、光熱・水道が2.4%、教育が1.8%、家具・家事用品が1.7%、住居が1.2%、保健医療が0.7%上昇し、諸雑費は3.5%下落した。
生鮮品は二極化、正月献立に明暗
生鮮主要15品目の価格動向からは、年末年始、特に正月の献立に少なからぬ影響を及ぼす傾向が読み取れる。
魚介類では、まぐろが100g当たり530円で、前年同月比5.2%上昇した。さけも100g当たり541円となり、前年同月比5.5%の上昇である。いずれも刺身や寿司ネタとして正月需要が高い食材であり、価格水準はやや高止まりしている。一方、いかは100g当たり240円で、前年同月比4.8%下落した。いかを使った煮物や和え物は、比較的取り入れやすい食材となっている。
野菜類では、価格の二極化が顕著である。キャベツは1kg当たり200円と前年同月比43.8%の大幅下落となった。正月明けの鍋物や付け合わせに使いやすい水準である。ほうれんそうも1kg当たり1,033円で前年同月比5.0%下落し、価格は落ち着いている。ねぎは白ねぎ1kg当たり893円で前年同月比0.7%下落、レタスは1kg当たり486円で同12.7%下落した。これらは雑煮や鍋料理、サラダなどに幅広く使われる食材であり、家計への負担感はやや緩和されている。
一方、根菜類では上昇傾向が目立つ。じゃがいもは1kg当たり500円で前年同月比23.2%上昇した。にんじんも1kg当たり586円で前年同月比27.1%の上昇となっている。たまねぎは1kg当たり479円で、前年同月比48.3%と大幅に上昇した。にんじんやたまねぎは、煮しめや筑前煮など正月料理の定番食材であり、献立全体のコストを押し上げる要因となっている。
大根は1kg当たり214円で前年同月比15.1%下落した。大根は雑煮やおでん、なますなどに使われることが多く、価格低下は正月料理の中での調整役となり得る。トマトは1kg当たり1,368円で前年同月比18.3%上昇し、生野菜を使った副菜では割高感がある。ピーマンは1kg当たり1,224円で前年同月比5.0%下落した。みかんは1kg当たり748円で前年同月比9.4%下落し、正月の果物としては手に取りやすい水準である。バナナは1kg当たり357円で前年同月比0.6%上昇と、ほぼ横ばいで推移している。
これらを総合すると、正月の献立では、魚介類や根菜類を中心にコスト上昇圧力がかかる一方、葉物野菜や大根、果物の一部では価格が下落している。煮しめや汁物では、たまねぎやにんじんの使用量が家計負担を左右する一方、キャベツや大根を活用した献立構成がコスト調整の鍵となる状況である。生鮮品全体としては、品目ごとの差が大きく、正月料理においても食材選択による価格影響の濃淡が明確に表れている。
米・肉・卵が家計圧迫、加工食品も上昇
加工食品・畜産品主要15品目において、前月に比べて上昇した品目では、牛肉(国産品)が最も高い伸びを示した。次いで、牛肉(輸入品)、3位はがうるち米(コシヒカリ以外)だった。
一方、前月に比べて下落した品目では、チーズが最大の下落率となった。次いで納豆が1.9%下落し、ハムが1.2%下落した。
前年同月に比べて上昇した品目では、うるち米(コシヒカリ以外)が前年同月比38.5%上昇し、最も大きな伸びを示した。次いで、うるち米(コシヒカリ)が同36.7%上昇した。3位は鶏卵で、前年同月比12.9%の上昇となっている。米類の高騰が際立つ結果となった。
前年同月に比べて下落した品目では、納豆が前年同月比1.0%下落し、最も下落率が大きかった。次いで、チーズが同0.8%下落し、ハムが同0.4%下落した。
加工食品・畜産品の価格動向のうち、前月比で値上がりした品目について個別に整理する。
主食である米類では、うるち米(コシヒカリ)が5kg当たり5,448円となり、前月比0.5%上昇した。前年同月比では36.7%の大幅な上昇となっている。うるち米(コシヒカリ以外)も5kg当たり5,323円で、前月比1.4%上昇、前年同月比では38.5%上昇した。
加工食品では、食パンが1kg当たり538円となり、前月比1.1%上昇した。前年同月比でも4.1%の上昇となっている。調味料では、マヨネーズが1kg当たり905円となり、前月比0.9%上昇、前年同月比では9.6%上昇した。
畜 産物では、牛肉(国産品)が100g当たり957円で、前月比2.1%上昇した。前年同月比では2.2%の上昇だった。牛肉(輸入品)も100g当たり372円となり、前月比1.9%上昇、前年同月比では5.1%上昇した。豚肉(国産品、バラ)は100g当たり287円で、前月比0.7%上昇した。前年同月比では0.3%の小幅な上昇となっている。
卵類では、鶏卵が1パック315円となり、前月比1.0%上昇した。前年同月比では12.9%の上昇となっている。
大豆製品では、豆腐が1kg当たり284円で、前月比0.4%上昇した。前年同月比では1.4%上昇した。
これらの結果から、11月の傾向として、米類や肉類、卵、加工食品の一部で前月から価格上昇が確認された。特に米類は前年同月比でも3割を超える上昇となっており、家計への影響が大きい品目となっている。
【編集部】
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