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容器包装PL制度の現状と課題 消費者庁、完全施行後の運用について説明

 消費者庁は15日、食品用器具・容器包装を対象とするポジティブリスト(PL)制度の運用状況と今後の課題について議論するため、「第3回食品衛生基準審議会器具・容器包装部会」を開催した。2020年の施行から経過措置期間を経て今年6月に完全施行となった同制度について、事務局は現状の整理とともに、新規物質の追加や対象材質拡大に向けた検討状況を説明した。会議の様子は同庁のYouTubeチャンネルで配信された。

ポジティブリスト制度、今年6月に完全施行

 事務局は、2018年(平成30年の食品衛生法改正の施行状況を踏まえ、食品用器具・容器包装に関するポジティブリスト制度の運用状況と今後の課題について説明した。同改正は、食品用器具・容器包装について国際整合的な衛生規制を整備することを目的として行われたもので、20年6月1日に施行された。その後、5年間の経過措置期間を経て、今年6月1日に完全施行となった。

 現在のポジティブリスト制度では、合成樹脂を対象として基材21物質、添加剤840物質が収載されている。制度の位置付けは、改正内容を整理した7項目のうち「国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備」に該当する。
 改正前は、使用を制限する物質を列挙する方式が採られていたが、改正後は原則として使用を禁止し、安全性が確認された物質のみを使用可能とするポジティブリスト方式に転換した。なお、改正前の規制についても引き続き遵守が求められている。

 制度の運用状況については、枠組み自体は維持しつつ、運用面での改善を進めていると説明。具体的には、事業者への周知、Q&Aの整備、相談窓口の活用などを通じて、制度理解の促進を図っている。また、新規物質の追加手続きについては、今後の運用実績を踏まえ、必要に応じて手続きの明確化や改善を検討していく考えだ。

新規物質追加と既存物質のリスク評価

 ポジティブリスト制度を巡っては、新規物質の追加、既存物質のリスク評価、対象材質の拡大といった点が主な検討課題とされている。新規物質の追加については、制度上、3つの手続きが用意されている。これまでにモノマー等については4物質が追加されているが、別表第一の改正や、安全性審査を経た追加については、現時点では実績がないという。

 既存物質のリスク評価については、優先度が高いとされた物質群6に分類される42物質を対象に、引き続き科学的知見の収集が進められている。これらについては、早ければ来年4月頃から、年間数物質のペースで食品安全委員会に諮問していく予定。

紙・ゴムへの制度拡大を本格検討

 また、現行制度は合成樹脂を対象としているが、2018年法改正時の国会附帯決議を踏まえ、合成樹脂以外の材質についても制度化の検討が求められてきた。このため、紙およびゴムについてポジティブリスト制度の対象とする検討が本格化している。

 22年~24年度にかけて、国立医薬品食品衛生研究所を中心とする研究班が、紙およびゴムに特有の課題整理を進めてきた。紙については、基材がセルロースという単一物質である点が合成樹脂と大きく異なり、従来のように基材を列挙する方式が適さない可能性があることから、紙の種類や用途に応じた分類方法の検討が必要とされた。
 ゴムについては、添加剤の種類が非常に多いことに加え、使用中に化学変化が起こり得るという特性が課題とされた。また、食品に直接接触するゴム製品と、製造設備の一部として使用されるゴムでは、食品への影響が異なるため、用途別に異なる基準を設けることも検討事項とされている。

現場の実態を確認し実効性ある制度設計目指す

 今年度からは、これらの研究成果を踏まえ、関係業界団体との具体的な協議が開始されている。原材料メーカーから最終製品メーカーまで幅広い事業者の意見を聴取しながら、実効性のある制度設計を進めていく方針だ。紙およびゴムのポジティブリスト化による食品用器具・容器包装の安全性向上に期待するとしている。

 今後は、食品衛生法改正の施行状況や現場の実態を引き続き確認し、課題を整理した上で、年明け以降に対応策の検討を進めていく。消費者庁が所管する事項については、同庁の審議会での議論を踏まえ、必要に応じて報告を受けながら検討を進めていく方針だ。

【田代 宏】

配布資料はこちら(消費者庁HPより)

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