龍泉堂、ホタルノキ抽出物で臨床試験 主要評価項目にLDLコレステロール、新規機能性関与成分を届出へ
サプリメントの原材料開発・販売を手がける㈱龍泉堂(東京都豊島区、塩島由晃社長)が新規の機能性関与成分の届出に向けて動き出した。2022年に発売したウェイトコントロール(体重管理)を訴求する植物抽出物について国内でRCT(ランダム化比較試験)を実施。脂質代謝に関わるLDLコレステロール値を主要アウトカムに、また、体重や体脂肪率などを副次アウトカムにした試験を行った。論文執筆を進めている。
9月の学術セミナーで報告、DygloFitの最新研究
同社は今年9月、毎年恒例の学術セミナーを都内で開催、顧客など取引先を中心に業界関係者135人が参集した(9月11日付既報)。
セミナーでは、皮膚領域の抗老化研究で知られる山田秀和・近畿大学客員教授が基調講演を行った後、同社の開発室スタッフが自社製品についてプレゼン。今年5 月にラインアップに加えた新製品で、米ケミン社が開発、製造する「ButiSheild(ブチシールド)」(酪酸カルシウム加工食品)の腸の健康に及ぼす影響を検証した海外臨床試験データを紹介したのに続き、事前に告知していなかった「DygloFit(ダイグロフィット)」に関する国内臨床試験結果を初めて公表した。
DygloFitは、同社が日本に初めて導入したマメ科植物ホタルノキ(学名=ディクロスタキス・グラメラータ)の莢と種子の抽出物。規格成分はフラボノイド系ポリフェノールの一種であるミリセチンとルテオリン。もともと米国のサプリメント市場で体重管理やインスリンサポート(インスリン感受性強化)などを訴求する製品に利用されていたもので、同社の主力製品の1つである体重管理素材の「IGOB131」(アフリカマンゴノキエキス)の流れを汲む新製品として22年に発売していた。
同社開発室の説明によれば、日本人の健常な成人男女に対するDygloFit、すなわち、その機能性関与成分と想定されるホタルノキ由来のミリセチンおよびルテオリンの有用性を検証する二重盲検プラセボ対照試験を2024年に実施。被験者80人を介入群と対照群の2群に分け、前観察4週間、摂取12週間、後観察4週間の計20週間にわたる試験を国内で行った。
作用メカニズムとしてGLP-1に言及
有用性を検証する試験食品の内容は、ミリセチンを1日あたり3.0mg、ルテオリンを同1.8mg含むハードカプセル。この量はDygloFitとして1日あたり240mgに相当する。
主要アウトカムに設定したのはLDLコレステロール値。また、副次アウトカムとして、HDLコレステロール値、総コレステロール値、血中中性脂肪、体重、BMI、体脂肪率、ウエスト周囲径、ヒップ周囲径の全8項目を設定した。
試験対象者は、介入群、対照群ともに、LDLコレステロール値が120~139mg/dLの境界域の健常成人男女に限定。体重については介入群が平均60.8kg、対照群が同60.2kgとおおよそ同じ。BMI値についても同様だったが、20週間の試験の結果、介入群は主要アウトカムであるLDLコレステロール値をはじめ副次アウトカムの体重、体脂肪率、BMI、ウエスト周囲径などが対照群との比較で有意な改善が認められたという。
9月時点で論文を執筆中。DygloFitを活用した機能性表示食品の届出準備完了はしばらく先のことになる。
ところで、LDLコレステロール値などが改善される作用のメカニズムは何か。同社開発室は、学術セミナーのプレゼンで、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)およびGLP-1受容体をそれぞれ活性化させる機能が、ミリセチンとルテオリンに報告されていることに言及した。新規性の高い機能性関与成分の実現をめざしているようだ。
【石川太郎】
(冒頭の写真:DygloFitの基原材料となるホタルノキの実(莢)=写真左。その花が同右。同社提供)
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