医薬部外品シワ改善表示に課徴金命令 エムアンドエムへ588万円、医薬部外品で初
消費者庁は2日、㈱エムアンドエム(東京都港区、帆足拓馬社長)に対し、医薬部外品『アンリンクル』の不当表示に関して景品表示法第8条第1項に基づく課徴金納付命令を行った。表示は、あたかも数秒で美容医療と同様のシワ改善効果が得られるかのように示していたもので、合理的根拠資料を提出しなかったため優良誤認と推定された。
同社には過去にも複数の商品で処分や申入れが繰り返されており、医薬部外品に対する課徴金命令は制度開始後初のケースとなる。また、地方自治体の措置命令に基づく課徴金納付命令としても食品、ヘルスケア関連分野では2016年4月以降、5件目という珍しい記録となった。
アンリンクル巡り“即効シワ改善”を表示
課徴金対象行為は、エムアンドエムが『アンリンクル』を販売する際に、ウェブページ上であたかも「使用するだけで、成分の作用により数秒間などの極めて短い時間で、目周辺・口周辺・首などに美容医療と同様のシワ改善効果が得られる」かのように示していた表示。
「大人女性 のホンネに 向き合う女 子SPA!」というウェブサイトを経由して表示される ウェブペー ジ媒体などにおいて、期間ごとに同様の表示が行われていたことを確認している。
根拠資料を未提出 優良誤認と推定
消費者庁は景品表示法第8条第3項に基づき、エムアンドエムに対し合理的根拠資料の提出を求めたが、同社は期間内に資料を提出しなかった。そのため、表示は優良誤認表示と推定され、課徴金賦課の対象となった。
課徴金対象行為が行われた期間は、2022年7月2日から同11月21日まで。また、エムアンドエムは課徴金対象行為を中止した後、23年5月5日に景品表示法施行規則第8条に基づき消費者などに対する是正措置を講じたとされ、同5月3日が措置実施前の最後の取引日だった。このため課徴金対象期間は22年7月2日から23年5月3日までと確定された。
同期間における『アンリンクル』の売上額は1億9,632万4,953円と算定され、その3%に相当する588万円が課徴金額として決定された。エムアンドエムは来年7月3日までに課徴金588万円を国庫に納付することが命じられている。
過去にも多数の行政処分と申入れ
エムアンドエム社は2019年以降、男性用ローションの定期購入表示、HMBサプリの効能表示、医薬部外品のシワ改善表示など、複数の商品分野でたびたび問題を指摘されてきた。
指摘の中心は、定期購入条件の不明瞭表示、誇大な効果表示、体験談の不適切使用、根拠の欠如した効能主張など。
行政処分としては、筋肉増強効果や痩身効果が得られるとする『ファイラマッスルサプリHMB』を販売し、2020年3月に消費者庁から措置命令を受けている。そして翌年11月に6,627万円に上る課徴金納付命令を受けた。
消費者団体(埼玉消費者被害をなくす会)は、2019年~2022年にかけて断続的に差止請求・申入れを行い、表示削除など複数の改善を引き出している。
また、東京都の措置命令に基づき消費者庁が行った課徴金納付命令というのは過去も含めて2度目。(一社)全国公正取引協議会連合会「措置命令・課徴金納付命令・確約データベース」で見る限り、課徴金制度が施行された2016年4月以降において、食品や化粧品などのヘルスケアに関係する表示において、地方自治体の措置命令による課徴金納付命令は今回が5件目というレアなケースとなった。
今回の処分について、同社からコメントは得られなかった。
【田代 宏】

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