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短鎖脂肪酸普及協会が設立1周年 専門家育成制度の創設で、正しい情報の届け手を強化へ

 (一社)短鎖脂肪酸普及協会(福田真嗣代表理事)は25日、設立1周年の活動報告会を都内で開催し、この1年の成果と今後の展望を発表した。協会の会員企業は、設立当初の10社から16社に増加し、協会が認定する「短鎖マーク」取得商品は、6商品から25商品へと伸長した。福田代表理事は、「メディア露出も増加し、テレビやさまざまな媒体を通じて啓発活動が強化された」と話した。

 一方で、協会が実施したウェブ調査によると、短鎖脂肪酸の認知率は17.6%と前年からほぼ横ばいで伸び悩みが続いている。背景には、腸活ブームの中で「情報が多すぎて選べない」、「何を信じたり良いか分からない」という声が多く、情報過多による混乱が広がっている現状があると指摘。短鎖脂肪酸を認知するきっかけの多くが、テレビ・ウェブに加え、店頭や口コミなど生活圏での接点だったと説明した。
 こうした情報過多に対応するため、協会は新たに「腸内環境コミュニケーター制度」を開始すると発表した。管理栄養士など専門職を対象に、腸内環境の体系的な知識とケーススタディを提供し、試験を経て資格を付与する仕組みだという。福田氏は、「生活者の身近な相談役となることで、正しい情報へのアクセスや自分に合う行動の発見、行動変容の後押しにつながると期待される。協会では、まず企業と連携し、所属管理栄養士らから取り組みを始め、将来的には数百人規模を目指す」と話した。

最新研究が示す“腸と全身のつながり”

 パネルディスカッションでは、学術アドバイザーを務める内藤裕二氏(京都府立医科大学大学院医学研究科、生体免疫栄養学講座教授)と金倫基(キムユンギ)氏(北里大学薬学部微生物学教室教授)が登壇し、短鎖脂肪酸と健康に関する最新の科学的知見が紹介された。
 最初に内藤氏が取り上げたのは、DNAのメチル化状態を基に「生物学的年齢」を測定する指標「エピクロック」。暦の年齢とは異なり、生活習慣や環境の影響を反映する点が特長で、この指標を用いた調査では、京都府京丹後市の高齢者が、青森県弘前市の高齢者と比べて生物学的に有意に若いことが判明したという。要因として、京丹後市では趣味のサークル活動などを通じ、日常的に体を動かす高齢者が多く、日常的な運動習慣の差が大きく影響していると解説した。内藤氏は、「企業が開発する食品が、生物学的年齢を若返らせる効果を科学的に検証できる時代になってきた」と述べ、健康食品分野における研究の新たな可能性を示した。

 金氏は、短鎖脂肪酸の働きが、腸内に限らず血流に乗って全身へ作用するという最新研究を紹介した。短鎖脂肪酸が脳の健康にも関わるという最新研究を紹介。脳には「血液脳関門(Blood-Brain Barrier/BBB)」という重要な防御機能がある。血液中の有害物質や炎症物質を脳に入れない“門番”の役割を果たしており、脳の健康維持に欠かせない。マウスを用いた実験では、短鎖脂肪酸であるプロピオン酸を与えることで、血液脳関門の機能が改善された ことが報告されている。血液脳関門を構成する細胞の結び付きが強まり、外部から有害物質が入りにくくなるという変化が確認されたという。金氏は、「短鎖脂肪酸は、腸だけで働く存在ではなく、全身、とりわけ脳の健康にも関与する可能性が高い」と指摘、腸内環境を整えることが広範な健康領域につながると説明した。

 同協会では今後、短鎖マークの拡大、人材育成制度の実装、新たな健康指標の普及などを通じ、市場形成を加速させるとしている。

【藤田勇一】

(冒頭の写真:パネルディスカッションの様子。左から福田代表理事、内藤氏、金氏)

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