ユニアル創業100年、国産素材で新展開 3代の歩みと機能性表示・大学連携による成長戦略
㈱ユニアル(原高明社長)は2025年、創業100周年と法人設立20周年という2つの大きな節目を迎えた。サプリメントや健康食品を軸にヘルスケア領域における独自の事業を展開してきた同社の歩みを振り返るとともに、これからの展望について同社の3代目に当たる原英郎取締役副社長(=写真)に聞いた。
医療機器から健康食品へ事業拡大
ユニアルの源流は、1925年(大正14年)に創業された医療機器事業にある。創業者である祖父の代には電位治療器「交流降圧電解保健装置」が生まれ、全国に普及した。健康増進機器として一世を風靡し、多くの家庭に浸透したことが、同社の礎を築くこととなる。
その後、祖父は内外健康を理念に健康食品分野にも進出した。時代の変化とともに人々の健康意識が高まり、医療機器だけではなく、日常的に摂取できる食品への需要が高まったことを背景に、健康食品事業を拡大。昭和30年の初頭から祖父と共に、父である原高明(現・ユニアル社長)は、北海道で収穫したクマ笹を細かく粉砕して缶に詰めた商品や、クマ笹エキス、海藻を粉末化した商品の研究・開発、販売を行うなど、今のユニアル事業の原型を築いた。これらの商品群は、新たな事業の柱となった。
その後、原高明氏は2005年に㈱ユニアルを設立、健康食品の原料販売および製品受託製造を行うBtoB事業を手掛けるようになった。原副社長は「私は祖父の代から続く医療機器の歴史と、父が築いた健康食品事業の両方を背負う立場にある」と語り、3代にわたる事業の積み重ねを強調した。
原氏自身、幼少期から父が開発下健康食品に囲まれて育った。家には常に健康食品があり、自然にそれを口にしてきた。いわば「サプリメントネイティブ第一世代」として育ったことが、現在の事業感覚に大きな影響を与えている。
「私にとって健康食品は特別なものではなく、日常の食生活の延長線にある。食卓に並ぶ1つの食品と同じ感覚」と語り、より消費者の立場に近い感覚で事業を捉える重要性を明かした。
クマイザサ由来青汁と新たな挑戦
直近の大きな成果として、クマイザサ由来ホロセルロースを関与成分とした青汁素材による機能性表示食品の届出実績がある。PRISMA2020に準拠したシステマティックレビュー(SR)により「便通改善・整腸・便臭低減作用」のエビデンス表示の届出を行い、消費者庁より受理・公表された。
「PRISMA2020対応に伴い、従来のヘルスクレームは通りにくいのが現状だが、しっかりとした適合性や科学的裏付けを示すことで突破できた」と振り返る。クマイザサ粉末は抹茶の様な味わいの良さも評価されており、青汁市場で差別化が可能になった。さらに他の国産素材についても機能性表示食品を見据えた臨床試験を進めている。「クマ笹に留まらず、メイド・イン・ジャパンハーブとしての国産素材を科学的に再評価し、エビデンスを積み上げることで、魅力的な原料開発を推進して行きたい」と展望を語った。
新たな挑戦として、ペット向けの口腔ケア市場を見据えている。クマ笹エキス・粉末、クマ笹由来乳酸菌を組み合わせた研究開発を進めており、歯磨きや餌に混ぜるかたちでの商品応用を検討中だ。
「展示会では原料だけではなく、最終製品を提示しなければ商談につながりにくい。ペットオーナーが直感的に商品を使用するイメージが思い浮かぶスタイルで提案することが重要」と強調する。市場はまだ小さいが、成長の余地は大きいと見ている。
大学連携と海外市場への展開
同社は今年、北海道大学の「北大発スタートアップ認定企業」に認定された。学内ベンチャーとは異なり、外部企業でありながら北大と継続的に共同研究を行ってきた実績と内容が評価されたものである。
「大学公認の企業という称号の授与は、対外的にも大きな意味を持つ。名刺やホームページで掲げることで信頼につながる」と原副社長は語る。研究機関との連携を強化し、科学的根拠に基づいた研究開発を推し進める姿勢を示している。

国内市場に加え、海外展開にも力を入れている。東南アジアを中心に引き合いが増加しており、現地に強い販売代理店との連携を深めている。「輸出は時間がかかるが、北米など他地域にも国産原料の販路を切り開いて行きたい」と展望を語った。
また、10月に開催される食品開発展2025では「ユニアルカフェ」としてクマ笹粉末・エキスを使った一般食品の提案を行う。美容分野でも「えんめい楽」(紫菊花粉末・エキス)の抗糖化作用に関する新データを発表予定で、今後は多角的な発信を行う姿勢を示した。
創業100周年を迎えたユニアルにとって、理念の継承と啓蒙は最も重要なテーマである。原氏は「日本の食文化の良さを科学的に検証し、国内外に発信することが使命」と強調。創業者の理念である「食事・運動・精神の三位一体による健康」を現代に引き継ぐことを改めて誓った。「次世代に誇れる事業を残すために、科学的根拠と文化的価値の両立を追求していきたい」と力強く述べた。
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事業内容:健康食品の原料販売、OEM受託











