乳製品などの表示ルールを見直し 業界団体からの要望も踏まえ議論
消費者庁は12日、第15回「個別品目ごとの表示ルールの見直し分科会」を開催し、旧食品衛生法に由来する個別品目ごとの表示ルールの見直しについて議論した。
乳製品、食肉製品、冷凍食品などに関する表示規定の維持、廃止、または要検討事項について、業界団体((一社)全国発酵乳乳酸菌飲料協会)の意見も交えながら審議した。議論は、消費者庁が事前に分類した4つのカテゴリ、①維持「食品衛生上必要と考えられる事項」、②廃止「横断的義務表示事項等で代替が可能と考えられる事項」、③廃止「品質に関わるものであって、義務的表示である必要がないと考えられる事項」、④要検討「監視の観点から維持が望ましいと考えられる事項」と、文字のポイント数規定に基づいて進められた。
業界団体からの要望
(一社)全国発酵乳乳酸菌飲料協会から、食品表示基準で現在規定されている「殺菌した発酵乳及び乳酸菌飲料である旨」の表示を維持するよう要望があった。殺菌タイプ製品は常温保存可能で賞味期限が長い(120日〜1年)一方、非殺菌タイプは要冷蔵で賞味期限が短い(2〜3週間)。この違いを消費者が明確に区別できるようにする必要がある。「殺菌」表示がないことで生きた乳酸菌を期待する消費者に誤解を与え、適切な商品選択を妨げる可能性がある。また、米国やEUでも、加熱処理や殺菌を行ったヨーグルト製品には、その旨を表示する義務(「生きた菌を含まない」など)があり、国際基準とも整合性が取れていると意見を述べた。
「監視の観点から維持が望ましいと考えられる事項」は継続審議へ
①維持「食品衛生上必要と考えられる事項」については、その必要性が認められ異論なく維持する方針で合意された。②廃止「横断的義務表示事項等で代替が可能と考えられる事項」については、即席めん類の「油脂で処理した旨」の表示や、「乳又は乳製品を主要原料とする食品」に関する表示などが該当する。これらの情報は、原材料名表示や保存方法の表示などで代替可能であるとの理由から、義務表示としては廃止する方向で合意に至った。
③廃止「品質に関わるものであって、義務的表示である必要がないと考えられる事項」について議論。特に、業界団体から維持の要望があった「殺菌した発酵乳及び乳酸菌飲料である旨」の表示がこのカテゴリに含まれている。委員からは、生きた菌の有無は事業者のアピールポイント(訴求点)であり、義務ではなく任意表示で対応可能ではないかとの意見が出た。議論の結果、消費者の誤解を防ぐ重要性は認識されつつも、義務表示としての規定は廃止する方向でまとめられた。
今回の分科会で最も議論が集中したのが④要検討「監視の観点から維持が望ましいと考えられる事項」について。乾燥食肉製品、特定加熱食肉製品、冷凍食品の「凍結させる直前に加熱されたものである旨」などの表示が該当する。自治体における収去の件数が多く、監視上の観点から維持の必要性もあると思われるが、消費者側に立って考えた時に、かえってそれが表示を分かりにくくしているという課題もある。ここで結論を出さず「当面は維持し、継続して検討する(継続審議)」という方針で合意された。特に冷凍食品の表示については、消費者の混乱を招かないようQ&A等での手当が必要とされた。
文字のポイント数の規定
最後に牛乳・乳製品の種類別表示などで定められている「14ポイント以上」などといった文字のポイント数規定について議論。消費者にとって慣れ親しんだ情報であるとの意見も出たが、衛生上のリスクの差と関連性がなく、厳格な義務として維持する必要性は低いと判断された。その結果、この規定は廃止する方向で合意した。ただし、業界の自主的な取り組みにより、今後も消費者に分かりやすい表示が継続されることへの期待が示された。
第16回は、今月26日に開催される予定。
【藤田勇一】
会議資料はこちら(消費者庁HPより)











