大麦若葉末、制御性T細胞増加に寄与 動物試験で可能性示唆、東洋新薬らが確認
青汁の原料として知られる大麦若葉末の摂取が制御性T細胞の増加に寄与する可能性を示す動物試験結果を、同素材の機能性研究を以前から行っている健康食品メーカーの㈱東洋新薬(本部:佐賀県鳥栖市、服部利光社長)が24日に発表した。北海道大学の中村公則教授との共同研究で確認したもので、大麦若葉末を配合した餌を3週間摂取したマウスは、配合しない餌を同様に摂取したマウスに比べ、小腸パイエル板における制御性T細胞の比率が有意に高かったという。
制御性T細胞は、免疫細胞の一種で、免疫反応を抑制する働きを持つT細胞に分類される。過剰で病的な免疫反応を抑える“ブレーキ役”として機能し、免疫バランスの調整に寄与するとされる。
東洋新薬はこれまで、大麦若葉末の免疫関連機能として、樹状細胞の活性化、IgA分泌促進、α-ディフェンシン分泌促進など、免疫を活性化させる作用を確認し、論文や学会を通じて公表してきた。その中で、同社によれば、制御性T細胞は腸管内で酪酸菌が産生する酪酸により誘導されるとの報告がある。このため、酪酸菌の増加作用を持つ大麦若葉末が制御性T細胞に与える影響を動物試験で検証した。試験には6週齢の雄性ICRマウスを使用したという。
共同研究を行った北海道大学の中村公則教授は24日、同社の発表に合わせて次のようにコメントした。
「本研究では、日常的に簡単に摂取できる大麦若葉末が制御性T細胞の増加に寄与する可能性を明らかにしました。大麦若葉末には免疫系を活性化する作用が確認されていましたが、今回の研究成果で免疫系を抑制する作用も確認できましたので、大麦若葉末は免疫系に双方向に働きかけることで人々の健康に役立つ可能性が示されました。今回の研究が、今後のセルフメディケーションの推進に寄与することを期待しております」
【石川太郎】
(冒頭の写真:加工される前の大麦若葉。熊本県内で撮影)
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