消費者庁、表示ルール見直し分科会 トマト・ソース品目、横断ルールへの移行で議論
消費者庁は19日、第13回「個別品目表示ルール見直し分科会」を開催した。トマト加工品、にんじんジュース及びにんじんミックスジュース、ウスターソース類を中心に議論が行われた。
トマト加工品には、トマトジュース、トマトミックスジュース、トマトケチャップ、トマトソース、チリソース、トマト果汁飲料、固形トマト、トマトピューレ、トマトペーストの9種類が該当する。それぞれの製品には定義があり、その定義に沿った名称で表示する必要がある。また原材料名は、使用した原材料を重量割合の高い順に表示することが基本であるとされている。表示が禁止されている用語として、「生」、「フレッシュ」などの新鮮さを表す言葉や、「天然」、「自然」といった用語、トマト果汁飲料における「トマトジュース」、「ドリンク」などが挙げられる。
業界団体からは、定義の見直しや表示ルールの統合・削除に関する要望が出されている。(一社)全国トマト工業会は、表示ルール全般は「現状維持を基本」としつつ、近年の産地気温の上昇、消費者嗜好に合わせた品種改良が要因と考えられるpH上昇傾向に対応するため、濃縮トマトへのpH調整剤(クエン酸等)の限定使用を認める修正を要望した。pH4.6を超えるとボツリヌス菌リスクが高まるため、安全性確保の観点からその必要性について説明した。
委員からは「pH調整剤は海外では使用されているが、国内では技術的管理ができているとして使用されていない。国内ではどのように管理しているのか。また将来的に国内でのpH調整剤を使用する可能性があるのか」との質問が出た。工業会側は「現在、pHの低いものと高いものとに選別、そのバランスを調整し製品化するという方法を取っている。しかし、これはかなり手間とコストがかかる作業。またpHの数値が上昇する傾向にあることから、将来的に調整剤が必要となる可能性は否定できない」と回答した。
また協会側は、固形トマトの細分化された定義を削除し、横断ルールに統合する考えを示した。委員からは、「消費者が製品を選ぶ際の判断材料になっているとして、消費者に対して混乱を招くことにならないか」との質問が出た。工業会側は、「横断ルールに準拠し、それそれぞれの形状(全形、2つ割りなど)を名称に記載することで消費者への情報提供は十分に可能」と回答した。
日本ソース工業会、定義・名称は現状維持を希望
(一社)日本ソース工業会からの報告を受け、原材料表示の在り方をめぐって意見が交わされた。ウスターソース類は、粘度の違いにより「ウスターソース」、「中濃ソース」、「濃厚ソース」の3種類に分類されている。日本ソース工業会は、消費者の選択に資するため、この3区分を定義どおり維持するよう要望した。
原材料である野菜・果実の表示ルールについて、現行では重量割合上位3種類を明記し、それ以降は「その他」とまとめられる。日本ソース工業会は、表示スペースの制約や小型容器化を理由に、全てを記載すると逆に分かりにくく、現行の「3種類+その他」の方式を当面維持することを求めた。
委員からは、「他の品目にはない特例であり、将来的には横断ルールに統一すべき」との意見もあり、すでに大手企業の多くは自主的に全原料を表示しているという実態も示された。
日本ソース工業会は、「現状維持は中小・零細事業者への配慮」と説明しつつ、「今後は段階的に横断ルールへ移行する方向」と応じた。また、表示しきれない情報については、ホームページや問い合わせ対応で補完する方針を示した。
次回、第14回の開催は10月22日。ベーコン類、ハム類、プレスハム、混合プレスハム、ソーセージ、混合ソーセージの6品目についてヒアリングを行う予定。
【藤田 勇一】